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1998-09-21 平成10年第3回定例会(第2日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 1998-09-21
    1998-09-21 平成10年第3回定例会(第2日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(溝口宏二君)ただいまから、本日の会議を開きます。       ─────────────    △ 総括質問(代表) 2 ◯議長(溝口宏二君)本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    田之上 耕 三 君    池 畑 憲 一 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 3 ◯議長(溝口宏二君)代表質問であります。  田之上耕三君に発言を許可します。    [田之上耕三君登壇](拍手) 4 ◯田之上耕三君 おはようございます。
     平成十年第三回県議会定例会に当たり、自由民主党県議団を代表して質問を申し上げます。  政治主導で景気対策と構造改革を進め、国際社会における大きな役割を果たしていくためには、政治の安定と国際社会の信頼が不可欠であります。しかるに先月の三十一日に北朝鮮から発射された弾道ミサイルが、我が国の三陸沖に着弾したとの報道があるなど、大事件が発生いたしました。前もって政府は北朝鮮側に発射の中止を申し入れていたにもかかわらず、何らの事前通告もなく我が国の領土に落下する可能性も考慮せず、多数の船舶や航空機等が往来する空域や海域に着弾したことは、国際常識を無視した無謀かつ極めて危険な行為であります。特に、北朝鮮から発射され我が国土を飛び越えて三陸沖に着弾したことは、日本列島が完全にミサイルの射程範囲に入ったことを実証したわけであり、我が国の主権と安全保障を脅かす重大な問題であります。  この北朝鮮の行為は、北東アジアの平和と安定に重大な脅威を与え、ひいては国際社会全体に緊張をもたらす暴挙であり、大量破壊兵器の拡散防止に向けた国際的努力を無視したものとして容認することは絶対にできません。我が国は北朝鮮に厳重に抗議したところでありますが、県議会としても事の重要性と緊急性にかんがみ、二度とこのような事態を繰り返すことのないよう、本議会の冒頭において抗議の決議をしたところであります。  そこで、知事は今回の事態をどのように受けとめておられるのか、お伺いをいたします。  次に、先般の第十八回参議院議員選挙において、我が党は改選議席を大きく下回る非常に厳しい審判を受けました。バブル崩壊以降、我が国経済を再び力強い回復軌道に乗せるため、減税や公共事業の拡大を行い、過去最大規模の総合経済対策を推進しつつある中で、問題の根本的解決を図るため、金融改革、規制緩和、行財政改革経済構造改革などに手をつけたものの、国民の理解が十分に得られなかったことを深く反省しつつ、今回の審判を率直に受けとめ、政権与党として必要な対策を責任を持って実行しなければなりません。幸い全国的な逆風の中で、本県においては至上命題であった選挙区二議席確保を果たすことができました。このことは井上、森山両候補が国家と郷土にとって必要な人材であり、県民の代表として高く評価していただいた結果であると存じます。この上は、参院選で示された我が党への期待と批判を真摯に受けとめ、景気対策を初め選挙に当たっての公約事項の実行を通して、県勢の発展と県民生活の安定向上に全力を挙げて取り組む所存であります。  このような中で、経済再生を目指して小渕新内閣が誕生し、六兆円を上回る恒久的な減税と事業規模で十兆円を超える追加補正を中心とした当面の景気対策とともに、財政構造改革法の凍結による積極的な平成十一年度の予算編成と、本県の重点要望事項の実現を強く期待しているところであります。また、井上議員の二度目の北海道沖縄開発庁長官就任を心からお祝い申し上げ、今後の御活躍を期待してやみません。つきましては、参議院選挙の結果と小渕新内閣の誕生を、知事はどのように受けとめておられるのか。  また、投票率の長期的低落傾向の中にあって、前回平成七年の県内における投票率五一・二〇%のさらなる落ち込みが心配されたにもかかわらず、今回は六四・八五%と一三・六五ポイントの大幅な回復を示したことについて、選挙管理委員会委員長の見解をお聞かせ願いたいのであります。  次に、行財政問題についてお尋ねいたします。  県内の経済動向は、最終需要が引き続き低迷し、企業活動も一段と慎重化しており、停滞感の強い状況となっております。このため県では国の総合経済対策に対応し、上半期の公共事業の発注率を八二%に設定されたほか、六月補正を見送った自治体もある中で、いち早く五百八十六億円余りの補正予算を計上していただきましたが、今回さらに五百二十四億円という大型の補正を提案され、補正後の総額は一兆三百八十三億円となり、九月議会として初めて一兆円を超えることになりました。ところで、景気回復のためには、これらの補正予算等の事業が一日も早く発注され、財政支出いわゆる真水が地域経済の末端まで速やかに行き渡る必要があります。また、立ちおくれている社会資本の整備や地域経済を発展させていくためには、年間を通して切れ目なく公共事業等の事業を確保する必要があります。国においても、来年度の概算要求基準では、本年度の第二次補正予算と来年度の当初予算とを一体として編成する十五カ月予算とすることや、本年度を上回る公共事業を確保するなど、景気回復を最優先に取り組む姿勢を示しております。県としても県内の経済動向や国の動きなどを考慮し、景気最優先で県政運営に当たるべきであると考えます。  そこで、第一点として、公共事業等に係る予算の執行状況と事業執行のための体制充実について。  第二点として、九月補正予算編成基本的考え方についてお聞かせください。  第三点は、本県の財政運営についてであります。本県財政は先般発表された九年度一般会計の決算見込みによりますと、実質単年度収支は十年連続の黒字となったものの法人関係を主に税収が大きく落ち込んでおり、予断を許さない状況となっております。また景気の低迷が続いている中で、本年度も法人関係の税収は厳しい見通しにあるようであります。一方、歳入の減に対し、景気対策や災害復旧等の歳出がふえたことなどから、借入金残高は前年度に比べ千百五十四億円も増加し、一般会計も県債残高は一兆八百億円余りとなり、中長期的な財政運営が懸念される状況になっております。そこで、九年度決算から見た本県財政の現状と、今後の財政運営についてお尋ねいたします。  第四点は、未収債権対策についてであります。九年度末における未収債権の残高は前年度末に比べ二・五%の増と、増加の比率は小さくなったもののなお九十億円余りの大きな額となっております。このような状況に対し、自民党県議団としても県民負担の公平性や納税意識の高揚を図る観点から、未収債権の回収対策を要請してきたところであります。県では平成八年二月に未収債権対策プロジェクトチームを設置され、夜間徴収ローラー作戦等による未収債権の回収に全庁を挙げて取り組んでこられたところであります。そこで、九年度の決算見込みから見た未収債権の回収実績と、今後の取り組みについて明らかにしてください。  第五点は、十一年度の予算編成についてであります。先般示された国の十一年度予算の概算要求基準は、厳しい経済情勢を踏まえて財政構造改革法が凍結され、一般歳出は前年度に比べ一一%増という景気刺激型の予算の内容となっており、特に公共事業は景気特別枠を含めて十年度当初予算の三〇%増になっております。御存じのとおり、本県は社会資本の整備がおくれているほか、公共事業への依存度が高いことから、公共事業予算の積極的な確保を国に働きかけ、本県が必要とする社会資本の整備をこれを機会にさらに進め、地域振興を図る必要があると考えます。そこで、このような国の動きに対応し、十一年度の県予算をどのように編成されるのか。その基本的考えを示していただくとともに、十一年度の概算要求の中における本県重点要望事項の盛り込み状況についてお伺いをいたします。  次に、行政改革についてお尋ねいたします。  二十一世紀の到来を目前に控え、社会経済情勢が大きく変化しつつある中で、地方分権の推進は実施の段階に至り、地方公共団体においては、みずからの責任において社会経済情勢の変化に対応できるよう体質を強化し、個性的で活力ある地域社会の構築を図っていくことが必要であるほか、厳しい財政状況下にあり、行政改革を一段と進めることが求められております。また中央省庁の再編については、公共事業部門や環境行政の一元化を図るため、現行の二十二省庁体制を平成十三年度から一府十二省庁体制とすることも決定されております。このため、県では先般委員会を設置し、平成七年十二月に策定した行政改革大綱の見直しの検討に着手されたと聞くところであります。  そこで、第一点として、行政改革大綱見直しの背景や必要性、見直しの視点及び見直しのスケジュールについてお示しください。  第二点は、外部監査制度についてであります。昨年五月に地方自治法が改正され、来年四月からは弁護士や公認会計士等外部監査人による包括的な外部監査制度を導入することが義務づけられることになりました。外部監査制度は、地方公共団体の組織に属さない外部の専門的知識を有する人による監査という、地方公共団体にとっては全く新しい制度であることから、現行の監査委員制度の運用にも関連してくるものと思うのであります。そこで、外部監査制度の趣旨と内容、及び外部監査制度が導入された場合の現在の監査委員制度との関連についてお伺いをいたします。  次に、地方分権についてお尋ねいたします。  地方分権の推進については、これまで四次にわたる地方分権推進委員会の勧告を踏まえ、去る五月二十九日に地方分権推進計画が閣議決定されたところであります。この計画によると、地方分権の推進は地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るため、各般の行政を展開する上で国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、住民に身近な行政を、できる限り身近な地方公共団体において処理することを基本として行うこととされており、このため、政府は必要な法制上または財政上の措置等を講ずることとされているところであります。具体的には国と地方公共団体の関係を対等協力の関係に改めるため、従来より各方面から批判の対象とされていた機関委任事務を自治事務と法定受託事務に再構築し、しかも条例、規則の制定権や議会の権限等が強化されることとなる自治事務のウエートを高めるとともに、国から市町村への権限移譲も進めることとされております。  そこで、このように地方分権がいよいよ実行段階に入ってきた中で、県における具体的な対応について明らかにされるとともに、市町村における地方分権の推進に当たって、県として考えておられる課題とそれらの課題に対する指導について、どのように考えておられるのか、お聞かせください。  次に、国際交流についてお尋ねいたします。  二十一世紀を目前にして、人、物、情報等が地球規模で行き交うグローバル化の進展に伴い、諸外国との交流を、さらに積極的に進める必要があるとして、総合基本計画の第三期実施計画においては、本県の地理的特性やこれまでの交流実績を踏まえ、アジア地域との交流推進に重点を置いた戦略プロジェクト、鹿児島新国際プランが展開されることになっております。我が国の南の交流拠点を目指す本県にとって、中国などアジア地域とのさまざまな分野での交流を拡大し、人的ネットワークの形成を推進することは非常に重要なことであり、アジア地域に主眼を置いたいろいろな国際交流事業が展開され、交流がますます盛んになることを期待しているところであります。  そこで、第一点として、本年度におけるアジア地域との国際交流事業の実施状況と、今後の取り組みについてお伺いをいたします。  第二点は、薩摩焼発祥四百周年事業についてであります。本年は薩摩焼が発祥して四百年という記念すべき節目の年に当たり、県では関係自治体、団体等と連携し、薩摩焼発祥四百周年事業を実施することとされておりますが、薩摩焼を通して鹿児島を世界に情報発信できる絶好の機会であり、イベント内容の工夫はもちろん広報宣伝にも、さらに積極的に取り組み機運の醸成を図る必要があると思うのであります。またこの薩摩焼発祥四百周年事業にあわせ日韓外相会談の開催が計画されているようでありますが、これが実現をすれば薩摩焼発祥四百周年事業の機運をさらに盛り上げ、鹿児島を内外に広くアピールできることから、積極的に取り組まれることを要請いたします。そこで、薩摩焼発祥四百周年事業の実施に向けての取り組みと、日韓外相会談開催の見通しについて明らかにしてください。あわせて今後の薩摩焼の振興に関連して伝統的工芸品の指定について、どのように考えておられるのか、お伺いをいたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 5 ◯知事(須賀龍郎君)答弁に入ります前に、さきの台風六号によりまして負傷されました方々に対しまして心からお見舞い申し上げ、そしてまた一日も早い御回復を祈念申し上げます。  それでは、順次お答えしてまいります。  北朝鮮のミサイル発射問題につきましては、人工衛星であったのではないかという情報もございますが、いずれにいたしましても何の事前連絡もなく、多数の船舶や航空機が航行しております三陸沖の海上に落下した可能性があるということは極めて遺憾でありまして、このことは国際法を無視したものであり、我が国の主権を脅かす重大な問題であると考えております。政府といたしましては、直ちに北朝鮮に対しまして厳重に抗議をしましたほか、食糧等支援の見合わせ、国交正常化交渉の方針変更などの措置を講じたとのことでございますが、今後とも政府は日本、韓国、アメリカの三者での協議や国連における対応など、あらゆる機会をとらえまして情報交換等を行い、日本国としての毅然とした厳しい対応をとることを強く期待をいたしております。  さきの参議院選挙の結果につきましては、国民が何よりも我が国の経済情勢を極めて深刻に受けとめ、その一日も早い回復を願っており、全体的には国民の国政に対する厳しい考え方が示されたものと受けとめております。小渕内閣に対しましては、低迷状態が長引いております日本経済の立て直しを初め、金融システムの安定化、厳しい財政状況への対応など、内外ともに解決すべき課題が山積しておる今日、これらの課題の解決のための諸施策を積極的に推進され、我が国の繁栄と国民の福祉向上に努められるものと期待をいたしております。特に、この内閣は経済再生内閣として位置づけられており、景気回復に向けた具体的な施策の推進に積極的に取り組まれますとともに、地方自治の立場からは実効性のある地方分権を推進し、新幹線や高規格幹線道路など高速交通体系を初めとする社会資本の整備等に当たっては、地域の実情に応じた施策の推進が図られますよう、特段の配慮をしていただきたいと考えております。  今回の九月補正予算につきましては、個人消費や設備投資など最終需要が低調で、依然低迷しております県内経済の動向等にも配慮いたしまして、一日も早い景気回復に向けまして国の総合経済対策に呼応するものを含めまして、公共事業等につきましては、さらに傾斜配分による事業費の確保に努めますとともに、県単公共事業につきましても積極的な対応を図りましたほか、当初予算編成後に生じました追加財政需要等について、所要の措置を講じたところでございます。この結果、公共事業につきましては、対前年度九月現計比で一二〇・一%、県単公共事業につきましても、災害関連事業を除いた対前年度九月現計比で一〇四・二%の事業費を確保したところであります。その結果、一般会計の補正額は全体で五百二十四億三千余万円となりまして、対前年度九月現計比で一〇五・九%の増となっております。今後一日も早い景気の回復が図られますよう、適切な予算執行に鋭意努めてまいる考えであります。  平成九年度の一般会計決算見込みにおきましては、県税収入が主に法人二税の減収から四年ぶりに前年度を下回りましたほか、地方交付税も伸び悩んでおり、また県債残高も平成九年度末で一兆円を超えるなど、本県の財政状況は年々厳しくなってきております。こうした中ではございますが、必要な社会資本の整備や県総合基本計画第三期実施計画の着実な推進に取り組んでいく必要がありますので、従来にもまして徹底した事務事業の見直しを進めますとともに、今後とも県税収入などの自主財源の確保や、地方交付税国庫支出金の充実確保を国に対しまして強く働きかけますなど、所要の財源の確保に努め、財政の健全性にも十分留意をしながら適切な財政運営を行ってまいる考えであります。  国の平成十一年度の概算要求につきましては、当面の景気回復に向け全力を尽くすという観点から、財政構造改革法の凍結を前提とし、今後予定をしております二次補正予算と十一年度予算を一体のものとして編成するという基本的な考え方が示されております。総額四兆円の景気対策臨時緊急特別枠を設定するほか、公共事業関係につきましては五千億円の配分重点化枠を設定するなどの方針が出されているところであります。一方、本県の来年度の予算につきましては、歳入面では県税収入の伸びも期待できないこと、歳出面では公債費等の義務的経費が増加してきておりますことなどから、例年にもまして厳しい予算編成を迫られるものと考えております。こうした中ではございますが、地方交付税国庫支出金などの充実確保を国に対しまして強く働きかけますとともに、県税収入など自主財源の確保に努め、また歳出全般にわたる徹底した整理合理化を行うことなどによりまして、所要の財源確保に努めながら、国の予算編成の動向や厳しさを増しております県内経済の動向等にも配慮しながら、必要な社会資本の整備や県総合基本計画第三期実施計画の着実な推進、一日も早い景気の回復に向けて積極的な予算編成を行ってまいりたいと考えております。  国の来年度の予算編成に向けましては、県開発促進協議会を通じまして、九州新幹線鹿児島ルートや高規格幹線道路等を初めとします高速交通体系の整備促進、新たな農業基本法の制定や農業農村整備の推進、さらに来年三月をもって期限切れとなります奄美群島振興開発特別措置法の延長など、奄美群島の振興並びに離島振興対策の推進など、八十項目にわたりまして要望してきているところであります。各省庁の概算要求はその大半が全国枠での要求となっておりまして、本県の要望部分についての具体的状況につきましては、現段階では明らかとなっておらないものが多くございますが、各省庁の要求状況から見ますと、本県の要望項目はおおむね盛り込まれているものと考えております。  このような中におきまして、本県が中心となりまして要望してまいりました、離島航空路に対します運航費補助制度の創設や、沖永良部島における国営土地改良事業地区調査の新規採択、東九州自動車道隼人東インターチェンジから国分インターチェンジ間の供用開始に向けた事業費、南九州西回り自動車道の隈之城から伊集院間の日本道路公団によります事業費などが要求されていることは明らかとなっております。国におきましては、現在公共事業予算の大幅な増額など、景気回復に向けた積極的な予算編成に取り組んでおりますことから、本県としても社会資本整備の状況や極めて厳しい財政状況等を国に十分説明をし、公共事業予算の一層の傾斜配分や地方財源の充実確保が図られるよう、年末の予算編成に向けまして、県議会の皆様方を初め県選出国会議員並びに関係団体の方々の一層のお力添えをいただきながら、その実現に向けまして最大限の努力をしてまいる考えであります。  県政は、常に社会経済情勢の変化に的確に対応した運営を行う必要がありますので、行政改革につきましては、平成七年十二月に策定いたしました鹿児島県行政改革大綱に基づき、毎年度本庁や出先機関の組織機構の再編、事務事業の見直し、許認可事務の簡素合理化など、行政改革の推進に計画的かつ積極的に取り組んできているところであります。しかしながら、この行政改革大綱の策定後、県総合基本計画第三期実施計画を策定いたしますとともに、国におきましても地方分権推進計画が決定され、また中央省庁等改革基本法も制定されますなど、本県行政をめぐる情勢は大きく変化をしてきております。県といたしましては、現行の行政改革を基本といたしまして、これらの情勢の変化に対応した組織機構のあり方を検討することとし、現在、行政改革推進委員会の意見をいただきながら見直し作業を行っているところでございます。この見直しにつきましては、年内には終えたいと考えておるところであります。  次は、日韓外相会談の鹿児島開催につきましては、これまで日本の外務大臣並びに韓国の外交通商部長官に再三にわたり要請を行ってきたところであります。先般、両国の大臣並びに長官が交代されましたので、改めて外務省に対しまして日韓外相会談が、本県において開催されるように要請をしたところであります。鹿児島において日韓両国の伝統文化等について語り合う機会が実現するならば、日韓の文化交流促進にとりましても大変意義深いものがあると考えておりまして、今後とも鹿児島での会談の実現に向けまして、さらに関係者に対しまして御理解と御協力をお願いしてまいりたいと考えております。 6 ◯出納長(吉留史郎君)未収債権につきましては、昨年五月、未収債権対策プロジェクトチームにおきまして、未収債権ごとの具体的な取り組み方策を決定いたしまして、全庁を挙げまして、その解消に向け鋭意取り組んできたところでございます。その結果、平成九年度は過年度分の収入未済額の解消につきましては、前年度を一千八百万円上回ることができましたし、また収入未済額の新規発生につきましては、前年度より一億六百万円少なくすることができたところでございます。特に収入未済額全体の約四五%を占めております県税につきましては、平成三年度以降増加いたしておりました収入未済額が減少に転じるなど、全体としては一定の成果が得られたものと考えております。  しかしながら、中小企業近代化資金など、新規発生額が解消額を上回りましたため、平成九年度決算の収入未済総額は九十億一千万円となりまして、前年度末を二億二千万円上回ったところでございます。このため、県といたしましては、引き続きプロジェクトチームを中心に全庁的な未収債権対策を推進することといたしまして、県税における県下一斉夜間徴収ローラー作戦等徴収強化対策の継続実施や、本年四月に導入をいたしました県営住宅使用料口座振替制度の普及を図るなど、未収債権の解消と発生の未然防止に向けた取り組みを、さらに強化してまいりたいと考えております。 7 ◯選挙管理委員会委員長(鎌田六郎君)今回の参議院議員通常選挙におきまして、投票率が御指摘のとおり上がったのでございますが、これは公職選挙法の一部が改正されまして、投票時間の延長や不在者投票の事由が緩和されたこと、そういったことで有権者にとって投票しやすい環境、投票環境が整えられたこと、また関係機関、団体の御協力によりまして、投票への参加の呼びかけが積極的に行われたことなどによるものと考えております。少なくとも今回の公職選挙法の一部改正につきましては、投票率の低下傾向に一定の歯どめをかけることができたのではないかと認識いたしております。なお、選挙は国民が政治に参加する最も重要かつ基本的なチャンス、機会でございまして、積極的な参加は民主主義の健全な発展のために欠くことのできないものであることにかんがみまして、今後とも選挙の啓発に引き続き努力いたしたいと考えております。  以上です。 8 ◯総務部長(高田守國君)本年度の公共事業等の執行につきましては、国の総合経済対策や県内経済への配慮等から、お話がございましたように、上半期契約目標率を過去最高の八二%と設定をし、鋭意発注に努めているところでございますが、八月末までの契約率は六五・七%となっております。また六月に計上いたしました追加補正分につきましても鋭意事業執行に努めているところでございます。いずれにいたしましても、一日も早い県内景気の回復に向けて委託可能な業務はできる限り委託し、また用地取得のための非常勤職員の増員や新規採用予定者の前倒し採用など、実施可能なあらゆる措置を講じ、円滑な事業執行が図られるよう努めてまいりたいと考えております。  現行の監査委員制度による監査委員の監査は、財務監査、行政監査あるいは要求監査等、地方公共団体の監査全般を行うものでございますが、今回導入される外部監査制度は、地方公共団体の監査機能の専門性、独立性の強化を図り、監査機能に対する住民の信頼を高めるという視点から、監査委員の行った監査と並行して弁護士や公認会計士、税理士など監査等の実務に精通した外部の専門家により特定の事項について監査を行うものでございます。外部監査制度には特定の事項につきまして、毎会計年度実施をいたします包括外部監査と、議会や長、住民からの請求に基づき個別の案件ごとに実施をいたします個別外部監査の二つの種類がございますが、いずれも地方公共団体外部監査人との契約に基づいて実施されるものでございます。  地方分権の推進につきましては、現在、職員の政策形成能力を高めるための各種研修の実施、国や民間企業、海外への職員の積極的な派遣、県と市町村との人事交流、市町村への計画的な権限移譲等に取り組んでいるところでございます。あわせまして真に実効性のある地方分権を実現いたしますため、地方税や地方交付税を初めとする地方税財源の充実確保につきまして、全国知事会等関係団体や市町村とも一体となりまして、開発促進協議会等を通じ国に対し強く要請を行っているところでございます。今後とも地方分権の推進が図られますよう職員の人材育成、組織体制の充実に努めますとともに、国に対し地方税財源の充実につきまして引き続き要請を行ってまいりたいと考えております。  市町村における地方分権の推進につきましては、それぞれの市町村において行財政改革の推進をされますとともに、職員の事務能力を高める研修体制を強化し、また広域的な行政需要や、新しい高度な課題に対応できる体制の整備を促進する必要があると考えております。このため、県といたしましては市町村に対し計画的な定員管理や徹底した事務事業の見直し、また自治研修センターでの専門的な研修や、県との人事交流制度等の活用による人材の育成等に努められるよう指導しているところでございます。  さらに、広域行政の推進につきましては、市町村を初め県民の方々を対象に、シンポジウムの開催、アドバイザーの派遣、パンフレットの配布、あるいは自主的な調査研究事業に対する財政支援など、各種の施策を講じているところでございます。今後とも市町村における地方分権の円滑な推進が図られるよう努めてまいりたいと考えております。  アジア地域との本年度の交流事業につきましては、去る八月第一回鹿児島県・江蘇省交流協議会を開催し、今後、毎年経済、文化、観光など各分野における交流の進め方等について協議していくことが合意をされました。また、去る九月四日に第十一回鹿児島・香港交流会議を鹿児島市で開催し、香港市政局や香港の各界代表者との意見交換を初め文化、スポーツ、産業、貿易、観光の各分野で協議やセミナー等を行い、今後一層の交流促進を図ることを確認をいたしたところでございます。さらに、本年十月から十一月にかけて実施をいたします薩摩焼発祥四百周年事業におきましても記念式典、文化・スポーツ等のイベントを通じ韓国、香港等の方々との交流を深めることといたしているところでございます。  このほか青少年の中国、韓国への派遣、上海でのアンテナショップへの参加など、各分野で多くの交流がなされているところでございます。なお、本年度は新たにアジア各地域の人的ネットワークの形成を推進をいたしますため、香港、シンガポール、韓国におきましてアジア鹿児島クラブを設立をすることを考えておりまして、現在その準備を進めているところでございます。今後とも交流会議や新たに設立するアジア鹿児島クラブの活用などを通じ、一層の交流促進に努めてまいりたいと考えております。  薩摩焼発祥四百周年事業は、お話がございましたように、薩摩焼の陶芸技法が朝鮮半島から渡来して四百周年を迎えることを記念して行うものでございますが、この事業は南の拠点鹿児島を内外に広くアピールする絶好の機会であると考えております。このため、韓国側の御協力、御支援をいただきますため、去る七月五日から八日にかけまして須賀知事、溝口議長さんを初め県議会の方々、また経済界の代表者の方々がソウルを訪問され、韓国政府やマスコミ、旅行エージェント等に対し薩摩焼発祥四百周年事業の広報宣伝と協力依頼を行っていただきました。また国内的には関係機関、団体等とも連携を図りながら観光キャラバン隊による広報宣伝、JR西鹿児島駅や鹿児島空港における広告ボードの設置、民間航空機の機内誌やJR九州の社内誌への記事の掲載、JR九州主要駅へのポスターの掲示、観光物産展等における広報、記念切手の発行など、この事業の実施に向け機運の醸成を図っているところでございます。  さらに、県内外はもとより海外の関係機関、団体等に対しましてもポスターやリーフレットを配布、インターネットのホームページの開設などを通じまして広報宣伝を行っているところでございます。今後とも実行委員会を中心に関係自治体等とも一体となって事業の成功に向けて取り組んでまいりたいと考えておりますので、県議会の先生方にも御支援、御協力を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。 9 ◯商工労働部長(松尾隆之君)国の伝統的工芸品として指定を受けるためには、申請者は工芸品を製造する事業者を構成員とする事業協同組合等の法人であることや、その製造過程の主要部分が手工業的であること、伝統的な技術または技法により製造されるものであることなどの要件があります。このような中で、薩摩焼の伝統的工芸品の指定につきましては、昨年八月六日、鹿児島県陶業協同組合が設立されたことにより申請主体としての要件は整ったところでございます。鹿児島県陶業協同組合におきましては、薩摩焼についての多様な技術、技法がある中で、伝統的な技術、技法の定義づけ等を現在検討しているところであり、県といたしましては、今後鹿児島県陶業協同組合を中心に伝統的な技術または技法についての合意形成と、国指定に向けた取り組みが進められるよう指導してまいりたいと考えております。    [田之上耕三君登壇] 10 ◯田之上耕三君 それぞれ御答弁をいただきました。  既に六月議会において、過去最大規模の補正を組んでいただいたのに、今回も大きな補正を提案されました。厳しい財政状況のもとで県債残高は最高を記録して、年間予算額を上回る見込みであることから、早く今日の景気の低迷状態を克服し、財政的にも安定を確保することができるように期待してやみません。  未収債権の回収については、過年度分の解消に努めるとともに、新規の発生を抑制していただきたい。県営住宅で入居から十一年余りの使用料を支払っていない人もあったようで、許されることではありません。引き続いての適正な回収措置を要請いたします。  十一年度の予算編成については、財政構造改革法が凍結され、本年度を三〇%上回る公共事業が要求される中で、本県としては傾斜配分の確保に努め、第三期実施計画二年目の円滑な実施を図っていただきたい。  地方分権推進計画も決定され、いよいよ具体的な施策が実施されることになりますが、地方分権の推進に伴い地方自治体がみずから考え、みずから決定する範囲が拡大してまいります。したがって、地方分権を本当に効果的なものにするためには、地方自治体の受け皿を強化するとともに、執行部を監視し、政策を立案し、県としての意思を決定する議会の充実強化を図らなければならないことは言うまでもありません。  薩摩焼発祥四百周年事業も間もなく開催されますが、単に四百年を回顧する後ろ向きのお祭りとしてでなく、二十一世紀に向けて本県薩摩焼のさらなる振興と、韓国を初めアジア諸国との交流の一層の拡大に資する前向きの事業になるように期待を申し上げ、次に防災対策についてお尋ねいたします。  県民が安心して生活できる災害に強い県土づくりを目指して、第三期実施計画等に基づき災害危険個所の掌握点検と周知徹底、市町村防災行政無線の整備促進及び自主防災組織の育成強化など、各種の防災施策を積極的に進めておられるところでありますが、被害軽減と未然防止の一つとして一般県民へ情報を早く正確に伝えることは防災対策の基本となる重要なことであります。このため、県では本年度県の震度情報を気象台とオンライン化することや、消防防災ヘリコプターから被害状況の映像を伝えるヘリコプターテレビ伝送システム等を整備することとされておりますが、災害はいつ起こるとも限らないことから、これらのシステムが一日も早く整備され、防災対策に効果を発揮することを期待しているところであります。  そこで、震度情報のオンライン化など、本年度における各種防災システムの整備状況を示していただくとともに、六月二十六日から本格運航され、先般の硫黄島の山林火災でも空中消火活動を行ったとお聞きしているヘリコプターの今までの出動実績と、その効果を明らかにしてください。  次に、日米共同訓練についてお尋ねいたします。  姶良郡吉松町と宮崎県えびの市にまたがる自衛隊の霧島演習場において、本年十一月に日米共同訓練が実施されることが先般発表されましたが、何分初めてのことであり、地元ではこの訓練の実施に不安の声が一部出ております。ところで、国家の防衛につきましては、独立国として自国の安全を確保することは国家の大切な責務であり、我が国は日本国憲法のもと外交努力により自国の平和と安全の確保を図っているところであります。しかし北朝鮮のミサイル発射の例もあるとおり、我が国の安全保障の上から、適切な規模の防衛力の整備を進める一方、日米安保体制の堅持により我が国の平和と安全を確保しなければならないことは当然であり、日米両国は日米安保体制の信頼性と紛争抑止効果の維持向上に資するため、従来から日米共同訓練を行ってきているところであります。この共同訓練は、それぞれの戦術、技能の向上を図る上で有効であるとともに、平素からの相互理解と意思疎通を促進し、有事における日米共同行動を円滑に行うために不可欠なものであります。  今回、霧島演習場で計画されている日米共同訓練も、このような必要性と国家的な取り組みの中で計画されたものでありますが、騒音や移動中の事故、治安など演習に係る安全確保等について、地元への十分な説明が行われるよう県としても要望する必要があると思うのであります。  そこで、今まで国内で行われてきた日米共同訓練においてトラブルが発生したことはないのか。あわせて今回の日米共同訓練に係る国からの連絡内容と、訓練の実施に対し県としてどのような要望を出されたのか、お伺いいたします。  次に、警察行政についてお尋ねいたします。  県内の治安情勢は価値観の多様化や国際化の進展等に伴う社会経済情勢の変化を背景に、刑法犯の認知件数は年々増加傾向にあり、殺人や強盗等の重要犯罪では国分市での強盗殺人事件、鹿児島市での殺人放火事件など、県民生活を脅かす凶悪な事件も発生しております。また少年非行では刑法犯による検挙、補導人員が増加する傾向にあるほか、非行の悪質、凶悪化が一段と進み、深刻の度合いが増しているようであります。さらに最近では和歌山県や新潟県、長野県等で毒物混入事件が連続して発生するなど、県民の治安に対する不安は高まっており、警察の一層の活躍が期待されるところであります。  そこで、警察庁の国際第二課長から着任された小野警察本部長に、就任の感想と本県警察行政推進への決意についてお伺いをいたします。  第二点は、青少年対策についてであります。最近の少年非行は戦後第四の上昇期にあると言われており、全国的に刑法犯、少年の検挙、補導人員が増加しております。本県においては前年度に比べ若干の減少を見せているものの、依然としてその発生は高い水準で移行しており、悪質、凶悪化する少年非行に対する県民の不安は高まっております。少年非行防止のためには家庭、学校、地域社会が連携し、地道に取り組む必要がありますが、凶悪化する少年を指導するには限界も見られ、警察による指導取り締まりの強化が求められております。このような状況に対し、警察庁では重大犯罪の予兆となる不良行為の段階での対応が重要とし、捜査とは別に補導や相談を専門に少年を支援する少年サポートセンターを設置することなどを内容とする総合的な少年非行対策プログラムをまとめたところであります。そこで、県における少年サポートセンターの設置の予定など、少年非行対策の強化についてお聞かせください。  次に、心の教育と鹿児島県の教育の特色についてお尋ねいたします。  県教委から発せられる本県教育に関する基本方針として、「郷土の教育的な伝統や風土を生かし」という表現があります。これは鹿児島の伝統的なものとして具体的にどういった教育を行おうとしておられるのか。他県との比較において、まず本県の教育の特色について明らかにしていただきたいのであります。  さて、全国の不登校の小中学生は十万人を突破し、県内でも千二百四十人と過去最高となっております。県ではスクールカウンセラーを配置するとともに、九月からは心の教室相談員も配置されることになっておりますが、一方、問題行動を起こした児童生徒に対しては、場合によっては出席停止などの措置もとられることになっております。  そこで、第一点として、学校嫌いを理由とした長期欠席者、いわゆる不登校が増加したことについて、県はどのように考えておられるのか。また、その対策としてはどのような方策を考えておられるのか。  第二点として、心の教室相談員の具体的な業務内容及び配置状況について。  第三点として、鹿児島県が心の教育を進めるに当たって、伝統ある鹿児島の郷土教育をどのように生かしていかれるのか。  第四点として、六月議会において問題行動を起こした児童生徒に対する出席停止等について、学校長がためらいなく取り組むことができるよう具体的指針をつくり、二学期から運用できるようにしたいということでありましたが、どのようになっているのか、お伺いをいたします。  次に、放送大学鹿児島学習センターについてお尋ねいたします。  放送大学は、我が党の先人たちの尽力によって、昭和五十八年に設置されましたが、これまで放送授業を取聴できる地域が関東地域の一部に限られていたのに、ことし一月から、通信衛星を利用して、念願であった全国放送が開始され、本県においては、間もなく十月から開校されることになりました。  放送大学は、県民がテレビ・ラジオ放送等により、いつでもだれでも大学教育を受ける機会を提供するものであり、今回の開校は、生涯学習を進める本県にとって、大きな前進となることを期待するものであります。  そこで、本県の生涯学習を推進するための鹿児島県民大学において、放送大学鹿児島学習センターの機能をどのように位置づけ、活用していくおつもりか。また、今回の鹿児島学習センターへの出願は、どのような状況にあるのかお聞かせください。  ところで、今回設置されるのは旧県庁舎内であります。当然新しい県民大学中央センターができ上がりますと、そこに移設をしなければならないわけですが、機材等の設備については、どのような対応をしようとしておられるのか明らかにしてください。  次に、教職員の採用と配置についてお尋ねいたします。  昨今、校区内に居住する教職員が非常に少なく、地域住民からの不満の声も聞こえており、心の教育を推進する上からも、学校と地域との連携、信頼関係がうまくいかないのではないかと思うのであります。  そこで、第一点として、教員の校区内居住の現状と校区内に住めない事情を明らかにされるとともに、県教委の指導についてお尋ねいたします。  第二点は、同一校の勤務年数についてでありますが、伝統ある校風の確立や特色ある学校づくりという点、さらには地域に密着した文化の振興やスポーツ等の競技力向上を図る上からも、現在の勤務年数では余りよい結果を出しにくいのではないかと考えます。僻地・離島を抱え、標準勤務年数の制度が定着しているわけでありますが、改めて検討し、現在の標準勤務年数にもっと弾力性を持たせるべきではないか、お答えください。  第三点は、競技力の向上ということから、全国唯一の国立の鹿屋体育大学を有する本県の特色を十分に生かして、鹿屋体育大学の卒業生を積極的に採用し、競技力の向上を図っていくべきではないか。  また、学校の教師だけでなく、市町村の職員や地域も一体となって協力し合い、全県的な取り組みを図っていくべきではないかと思いますが、県教委のお考えをお聞かせください。  次に、上野原遺跡整備基本構想等の策定についてお尋ねいたします。  上野原遺跡の保存・活用については、上野原遺跡保存・活用検討委員会における意見を参考に、六月に整備構想の骨子案が示されましたが、これまでの検討やいろいろの意見等を踏まえて、その後どのような取りまとめの状況にあるのか。  また、基本構想に引き続く基本計画の策定については、早期の整備を図るべきであると考えますが、具体的な取り組みの状況を明らかにしてください。    [知事須賀龍郎君登壇] 11 ◯知事(須賀龍郎君)日米共同訓練につきましては、去る八月六日に防衛庁の方から、陸上自衛隊とアメリカ海兵隊との共同訓練を十一月上旬から中旬にかけて、霧島演習場と熊本県の大矢野原演習場で実施することが決定されたという連絡を受けております。  その連絡内容につきましては、通信訓練や衛生訓練などの機能別訓練と総合訓練の実施。実弾射撃訓練は、霧島演習場では実施しないとのこと。参加人員は、日本側が一千名程度、アメリカ側が七百名程度を見込んでいること。アメリカ海兵隊の九州入りについては、空路で入る可能性が高く、港湾を使う可能性は低いことなどが示されているところであります。  県といたしましては、日米共同訓練の実施に当たっては、住民生活に支障が生じないよう、事故防止や治安対策など住民の安全確保に十分配慮されるよう国に強く要請をしたところであります。  なお、訓練内容の細部につきましては、日米間で現在、調整中とのことでありまして、県といたしましても、さらに情報収集に努めながら、また、連絡があり次第、県議会の御意見等も承りながら適切に対応してまいりたいと考えております。  また、これまで国内で実施いたしました日米共同訓練におきましては、北海道でジェット戦闘機が低空飛行を行いましたために、その爆音により暴走した競走馬に被害が生じた例はあると聞いておりますが、北海道を含めまして、その他の地域での共同訓練におきまして、人身事故等の事例はないと聞いております。  次は、上野原遺跡の保存・活用につきましては、去る六月県議会におきまして、上野原遺跡整備構想骨子案に対しましていろいろと御論議をいただいたところであります。この御論議を踏まえながら、「上野原縄文の森」──これは仮称でありますけれども──上野原縄文の森としての整備することといたしまして、現在、その基本構想の取りまとめを行っているところであります。  その内容につきましては、上野原遺跡の適切な保存に努めますとともに、縄文の世界と向き合い、学び、親しむ場の形成を目指すことといたしております。  また、南の縄文文化を核にいたしました調査・研究を初め体験・交流・学習等の拠点となるようなものとして取りまとめてまいりたいと考えております。  今後の取り組みにつきましては、本年度中に基本計画を策定をし、来年度には基本設計、実施設計を進めまして、一部施設につきましては、工事に着手をしたいと考えております。 12 ◯総務部長(高田守國君)平成十年度の防災情報システムの整備状況についてでございますが、県の震度情報ネットワークシステムと気象台とのオンライン化につきましては、八月末に接続を終え、現在、気象台において試験運用を行っておりますが、現時点では、百十二カ所のうち七十六カ所につきましては、本年十月から、残りの三十六カ所につきましては、来年四月ごろ運用を開始できるものと考えております。
     また、ヘリコプターテレビ伝送システムにつきましては、本年度テレビカメラの装着や受信用の県庁基地局の整備を行いますとともに、離島における中継局整備のための実施設計を行うことにいたしております。  なお、新たに夜間等のヘリコプターの運航が困難な場合等に対応できます持ち運びのできる、いわゆる可搬型画像伝送システムを整備することにしたいと考えております。  このほか、河川情報システムや土砂災害発生予測情報システムなどの整備を進めているところでございます。  県といたしましては、災害の未然防止を図りますためにも、今後とも各種防災情報システムの整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  消防防災ヘリコプターの出動実績につきましては、これまで離島急患搬送が五件、山岳や海上での捜索活動が二件、硫黄島の山林火災での消火活動が一件の合計八件となっております。  特に硫黄島の山林火災におきましては、消火バケットなどを活用した迅速な消火活動に対し、地元の方々からも高い評価を受けるなど、十分その役割を果たしたものと考えているところでございます。  今後ともさらに訓練を重ね、ヘリコプターの機動性・迅速性を十分に生かした防災活動に努めてまいりたいと考えております。 13 ◯警察本部長(小野次郎君)県下の治安情勢がまことに厳しいものであることは、御指摘のとおりでございます。また、最近でも川辺町における水道水への農薬混入事件や、国分市での暴力団員による民家への猟銃発砲事件、さらには鹿児島市のアパートにおける強盗事件など、市民に大きな不安を与える重要凶悪事件が相次いで発生しており、本県治安維持の責任者としては、その任務の重大さを改めて深く認識しております。  私は、このような治安情勢を的確に把握し、また、国際的な組織犯罪の動向をも視野に入れながら、三千余の県警察職員と一丸となって、特に交通死亡事故の抑止、密航密輸事犯防止のための水際対策の推進、災害発生時における警察措置に万全を期すことなど、安全で平穏な地域社会の確立に全力を挙げて取り組み、市民の期待と信頼にこたえてまいる所存でございます。  本県における少年非行は、御指摘のとおり高水準で推移しているほか、鹿児島市における少年四名による強盗殺人放火等事件や鹿屋市における独居老人対象の強盗殺人死体遺棄事件に見られるように、悪質凶悪化が一段と加速しております。加えて非行の前兆とも言うべき不良行為による補導人員は、一昨年来急激に増加しているところでございます。  このように質・量ともに深刻化している少年非行に対処していくためには、悪質凶悪化している少年犯罪への厳正な対処と非行への未然防止を図るため、非行の前兆とも言うべき深夜徘回、飲酒、喫煙など不良行為の段階での補導活動の強化が必要となっております。  さらには、校内暴力やいじめなどを含めて、被害少年、加害少年に対する心のケアや関係少年、家族などに対する適切な助言、指導を行い、また、ケースによっては、警察以外の相談先の紹介を行うなど、少年自身が抱える問題を取り除いていく支援対策の確立が急務となっております。  したがいまして、今後、少年に対する警察内部の体制の充実だけでなく、支援活動の中心となるセンター機能の構築を初め、関係機関・団体との連携による活動の強化を図っていく所存でございます。 14 ◯教育長(徳田 穰君)本県は、教育行政の基本方針を郷土の教育的伝統や風土を生かし、全人教育、生涯学習の推進に努めるとしております。  これは、本県の教育的伝統や風土は、時代を越えても変わらない高い教育的価値を有しますとともに、本県の独自性をもあわせ持つと考えるからであります。  我が郷土の先人たちは、多才で豊かな、また一面厳しい自然環境の中で、生きるためにさまざまな知恵を働かせ、衣・食・住を初め、多様な生活文化を築き上げ、今日に伝えてきております。  また、かつて県下各地で行われていました教育の中には、異年齢集団の中での人間的な触れ合いを通して鍛錬や実践をとうとびながら、思いやりや連帯感、忍耐力やリーダーシップをはぐくむなど、現代においても通じる教育的価値を有するものがあると考えております。  そのため、県教育委員会では、市町村教育委員会とも連携し、地域の教育力を最大限に生かしながら、山坂達者、青少年自然体験活動事業など郷土の自然の中で青少年の心身を鍛錬する事業、ふるさと学寮や伝統芸能継承活動など子供たちの豊かな心をはぐくむ事業、郷土かるたや郷土史家による講演など、郷土の先人に学ぶ学習活動など多様な教育活動に取り組んでおります。  こうした郷土の教育的伝統や風土に根差した教育は、今日の青少年を取り巻く教育課題を解決する有力な方法であると同時に、郷土や我が国に対する理解や愛着心を育て、たくましい精神力、実践力を身につけさせることともなり、これからの国際化時代に生きる青少年にとって大事な教育であると考えております。  本県の公立学校におきまして、平成九年度に年間三十日以上欠席した不登校児童・生徒数は、小学校が二百四十五人、中学校が九百九十一人、高校が六百六十一人、計千八百九十七人となっており、在籍比では、全国平均と比較して下回っているものの、年々増加する傾向にあり、学校教育の大きな課題として認識しておるところであります。  県教育委員会といたしましては、この問題に対処するため、これまで臨床心理士等の学校への派遣、地区相談員や生徒指導主任等対象とする研修会の実施、いじめホットラインのフリーダイヤル化等により、児童・生徒の教育相談体制や教員研修の充実を図ってきており、小・中学生につきましては、平成九年度の不登校児童・生徒の約三分の一が学校へ復帰しております。  また、本年度におきましては、教員に対する学校カウンセリング技能向上推進事業の拡充、スクールカウンセラーの配置校の拡充に加え、二学期からの心の教育相談員の配置などあらゆる施策を実施しております。  今後とも家庭や関係機関との連携を十分に図りながら、児童・生徒の悩みをしっかりと受けとめ、児童・生徒が楽しく学び合い、存在感を感じられる学校づくりを目指し、不登校の問題の解決に一層努めてまいりたいと考えております。  心の教育相談員は、校長の監督のもと、学級担任、養護教諭等と連携を図りつつ、中学生が悩み等を抱え込まず、心にゆとりを持てるように、相談相手や話し相手になることを主たる業務としております。  また、各学校の実情に応じて、学校行事や学級活動等における生徒への語りかけや、部活動等における生徒との触れ合い、さらに学習進度の遅い生徒に対する補充指導への参加、協力等の業務を行うこととしております。  配置状況につきましては、四学級以上の公立中学校百四十七校すべてに百五十八人が予定されていますが、二学期当初から配置される学校は、全体の約六割であります。また、形態としては、一人配置校がほとんどであります。  なお、相談員の職業等を見ますと、教職員経験者が約六割を占め、その他民生委員、学生、PTA関係者等多様な構成となっております。  今後、県教育委員会といたしましては、各学校において相談員が有効に活用されるよう、機会をとらえて市町村教育委員会への指導・助言を行ってまいりたいと考えております。  心の教育の推進に当たりましては、心の教育振興会議の提言にありますように、我が国や郷土についての理解を深め、誇りを持ちますとともに、他人を思いやる心や感動する心、国や郷土を大切にする心を育てていくことが重要であると受けとめております。  こうした心の教育の重要性を踏まえ、ほとんどの小・中学校では、郷土教育の一環として伝統行事への参加、伝統産業に関する学習、郷土の高齢者との触れ合いなどさまざまな特色ある教育活動が行われております。  県教育委員会といたしましては、学校におけるこうした指導の一層の充実を図るために、地域の教育伝承等の収集、教材化などを内容とする感動教材開発事業、地域における体験活動やボランティア活動などを内容とする心を育てる体験活動推進事業、地域の人材を活用する郷土に根差す学校づくり推進事業などの施策に取り組んでおります。  今後とも教育問題懇話会での提言などを踏まえ、郷土の持つよき教育的伝統や風土を生かしながら、学校・家庭・地域社会の連携と協力のもとに、心の教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。  近年、児童・生徒の問題行動は深刻化してきており、学校が安全で秩序ある環境を確保するためには、出席停止を含む適切な措置がためらわず講じられるようにすることが必要であると考えております。  このため、県教育委員会といたしましては、去る七月、学識経験者、児童福祉や警察の関係者、学校、PTA代表者などからなる出席停止措置等に関する検討委員会を発足させました。  現在、同委員会は、児童相談所、家庭裁判所、PTAなどから意見を聴取しながら、鋭意審議を進めておりまして、出席停止の指針について、具体的な適用要件、具体的な手続のあり方、期間中の指導と関係機関との連携のあり方などに関して検討を行っております。  県教育委員会といたしましては、十月上旬に予定されております同委員会の報告を受け次第、できるだけ速やかに各学校で指針が活用され、関係機関との連携のもと、暴力を許さない毅然とした対応がとれるよう指導してまいりたいと考えております。  放送大学鹿児島学習センターは、県下全域を学びのキャンパスとする鹿児島県民大学の中で、重要な役割を果たすものとして県が誘致したものであり、九月十六日に開所式が行われ、十月一日開校の予定であります。  当センターの開校により、テレビ・ラジオ放送を通じて、高度で専門的な内容の学習機会を広く県民に提供できることになり、多くの離島を有する本県にとりましては、生涯学習の推進に大きく寄与するものと期待をいたしております。  今回の入学希望者は五百五十四人であり、本年度開校する他県と比べて最も多く、県民の学習意欲の高さを示しており、県教育委員会としましては、放送大学と連携を深めながら、県民の高度な学習機会の場として広く活用を図られますよう、さらに支援に努めてまいる考えであります。  今後、県民交流センターの機能の一つとして、県民大学中央センターが完成しましたときには、この中に移転することとしていますが、必要な機材等の整備につきましては、放送大学が行うこととなっております。  教員が校区内や同一市町村に居住し、日ごろから児童・生徒や地域の方々と親しく触れ合い、地域の実態を深く理解しながら教育活動に取り組むことは、学校と地域との連携を高め、今日的課題である心の教育を推進する上からも極めて大事なことであると考えております。  このようなことから、県教育委員会といたしましては、校区内居住等を積極的に指導してきており、平成十年五月一日現在における小・中学校教員の居住状況を見ますと、校区内及び同一市町村に居住している者は、約六五%という状況であります。  教員が校区内に居住する困難な理由といたしましては、住宅事情や家庭事情等があり、やむを得ず校区内に居住できない場合でありましても、PTA活動を初め、地域の諸行事に積極的に参加するなど、地域と一体となった教育活動を展開するよう、今後とも強く指導を続けてまいりたいと考えております。  教職員の人事異動は、離島を抱える本県の教育を公平に分担するという観点に立って、人事異動の標準に則して行っておりますが、具体的な異動におきましては、生徒指導体制の充実や部活動の活性化など、学校運営上の必要性を考慮しながら、標準の弾力的な運用に努めております。  今後とも各学校の伝統ある校風の確立や特色ある学校づくりが図られますよう、適切な標準の運用に努めてまいりたいと考えています。  保健体育の教員の採用に当たりましては、教員としての専門性や教育に対する意欲、人間性などはもとより、本県スポーツの競技力向上という観点も勘案しながら、地元の鹿屋体育大学の卒業生を初め、全国から優秀な指導者となり得る人材を採用することといたしております。  また、県教育委員会といたしましては、中学校及び高校の運動部活動の活性化を図るため、市町村教育委員会と連携しながら、県下各地域に居住しておられる教員以外の優秀な指導者に部活動の指導をお願いしていますが、その数は、九年度において、中学校で二百五十六人、高校では六十人となっており、年々増加傾向にあります。  本県の競技力向上を図るためには、こうした地域の方々の支援も大きな力になると考えておりまして、今後とも地域と一体となった取り組みがなされるよう努めてまいりたいと考えています。    [田之上耕三君登壇] 15 ◯田之上耕三君 日米共同訓練等について御答弁をいただきました。冷戦後の現在、世界的な規模の武力紛争が起こる危険性は大幅に低下しましたが、我が国周辺には、不透明・不確実な要素も依然として残っております。  今日、核を含む近代兵器が発達している現在、我が国だけで国を完全に守ることは不可能なことであります。  もとより防衛政策を推進する上で、国民の防衛に対する理解と関心及びそれに裏づけられた国民的合意の形成が、基本的に重要であるということは言うまでもありません。  防衛についての国民的合意は、国の平和と安全を保つための基盤であり、国民の国を守る気概や防衛に対する国民の理解と支援があって始めて国の防衛が全うされると思うのであります。  自由民主党は、結党以来、責任政党として、政府とともに国防の重要性を強く訴えてまいりました。今後とも我が国の独立と平和、並びに繁栄を確保するために、さらに国防の充実に邁進することを申し上げますとともに、今回の日米共同訓練が所期の目的を達成して、無事終了するよう、関係者の皆様の十分なる理解と協力を切にお願いをいたします。  警察関係については、新任の小野本部長から初めての答弁をいただきました。小野本部長は、県警の本部長は初めてということであり、腰を据えて県民の期待と信頼にこたえていただくようにお願いをいたします。  教育について、単位制高校の平成十二年四月の開校に向けて、校舎の実施設計に着手されることになり、中・高一貫教育については、岩川と与論で実践的な研究が開始されることになりました。二十一世紀に向けて、本県教育の新しい動きを感ずるのであります。あしたを開く心豊かな人づくりを目指して、個性とゆとりを生かした教育と放送大学の開校による生涯学習の一層の推進を期待いたしまして、次に、中小企業対策についてお尋ねいたします。  小渕新内閣が組閣され、経済企画庁長官に民間から堺屋太一氏が就任されました。新経済企画庁長官は、経済企画庁の月例経済報告について、日本経済の景況をより正確に把握し、国民にわかりやすく伝えるという観点から、これまでの停滞から低迷という表現に改め、最近では、日本列島総不況という形容を使うなど、厳しい認識を示しております。  国のこのような景況認識の変化は、県が国の経済政策の展開と呼応して進める中小企業施策を展開するに当たっての前提となる県内景況の認識にも影響を与えるのではないかと思うのであります。  そこで、第一点として、県内景気の現状について県はどのように認識しておられるのか。  第二点として、融資枠の拡大や融資条件の緩和、信用保証協会への出捐などが図られてきた制度資金の活用状況。  第三点として、さらに中小企業金融の円滑化のための今後の対応についてお伺いをいたします。  次に、テクノポリス第三期計画についてお尋ねいたします。  昨年四月に経済のグローバル化の進展、産業の空洞化の高まりなど昨今の経済・社会情勢の変化を踏まえて、国のテクノポリス開発指針及び集積促進指針が改定されたのを受け、県においては、国分・隼人テクノポリス開発計画及び鹿児島地域集積促進計画の見直しを行い、その変更計画が、先般六月二十三日に国より承認されたところであります。  そこで、第一点として、今回、変更承認されたテクノポリス第三期計画の概要と、その中に盛り込まれた起業化支援センターの活用についての基本的考え方についてお伺いいたします。  また、新しい国分・隼人テクノポリス開発計画において進める産・学・官の連携による共同研究や技術移転等研究開発活動の一層の活発化を図るためには、工業技術センター等の所有する特許等を、今まで以上に活用することが重要であると考えます。  そこで、第二点として、工業技術センター等の所有する特許等の活用対策について明らかにしてください。  第三点として、新製品の販路拡大策について、県のしかるべき支援がなされるべきであると考えますが、最近の例では、建築資材として開発された竹平板等の販路拡大策についてお聞かせください。  次に、鹿児島空港都市の建設についてお尋ねいたします。  国際化が進展する中で、空港は交通の結節点、人・物・情報のターミナルとして、今日、その重要性がますます高まってきており、テクノポリス推進の上からも鹿児島空港の整備が望まれております。  県におかれては、空港が有するこれら機能の強化を図り、それを活用しながら種々の機能の集積を進めることによって、我が県の世界に開かれたゲートウエーとして、鹿児島空港とその周辺地域の整備を進めるために、平成五年三月に「未来へ躍動する空港都市-アクティブ・エア・フロントの形成」を基本理念とする鹿児島空港都市整備基本構想を策定され、これに基づいてターミナル機能の充実や新たな産業、流通拠点の整備に取り組んでこられたところであります。  このようなことから、鹿児島空港は、今日、全国七つの主要空港の一つに位置づけられ、利用客も年々増加し、平成九年度では六百万人を超える、名実ともに我が国の南の拠点空港と呼ぶにふさわしい空港施設等の充実・強化や、国際線及び国内線の各ターミナルビルなどの充実が図られてきております。  また、産業・流通機能については、空と陸の高速交通体系を生かした新たな産業・流通拠点の整備を図ることを目的として、平成七年度から鹿児島臨空団地、平成九年度からは霧島くりの中核工業団地も整備がそれぞれ進められております。  そこで、鹿児島臨空団地と霧島くりの中核工業団地の現在の整備の進捗状況と、今後の企業分譲の展望についてお聞かせください。  次に、国立療養所霧島病院の後医療についてお尋ねいたします。  テクノポリスは、産・学・住・遊の調和のとれた整備を目指しており、その中で重要な都市機能として、医療や教育、住環境などの整備・充実が不可欠と考えるのであります。  そこで、厚生省が示した国立病院・療養所の再編成計画の中で、国立療養所霧島病院については、統廃合の対象となっておりますが、地元から地域医療を確保するために存続してほしい旨の要望があり、隼人町の地域医療審議会において協議がなされてまいりましたが、先般、審議会から隼人町長に対し、隼人町単独で委譲を受け、公設民営方式で運営することが望ましいとの答申が出されたところであります。  しかしながら、今後、隼人町が国からの病院の委譲を受けて新しい病院として再出発するまでには、経営的な面や診療内容の高度化等さまざまな課題を解決していく必要があります。  そこで、県としては、今後、霧島病院の後医療にどのように対応していくおつもりか。  あわせてさきに民営化された阿久根病院と志布志病院の最近における経営状況についてお聞かせください。  次に、観光の振興についてお尋ねいたします。  最近の景気の低迷やウォンを初めとするアジア諸国の通貨の下落と観光を取り巻く環境は一段と厳しくなっており、国外からの入り込み客は増加したものの、国内の入り込み客や修学旅行生の大幅な減少が懸念されているところであります。  そこで、海外志向と個人旅行や目的型の強まりなど観光ニーズの変化に対応し、新たな観光素材の発掘、観光情報の発信等、また、秋の薩摩焼発祥四百周年事業や来年のザビエル渡来四百五十周年事業などイベントを生かしたツアー商品の開発等、県外、海外に向けた積極的かつきめ細かな観光客の誘致対策について検討すべきであると考えますが、これらに対する県の取り組みについてお伺いをいたします。  あわせて一千万人の観光客を目指す県の観光振興の核となる物産観光センターの建設についてであります。  第二期の実施計画では、二期の期間中に建設に着手するということでありましたが、新しい第三期実施計画では、三期中に事業化の検討を行い、三期後の平成十三年度以降に整備する計画になっております。  事業化の検討に着手されたのは、既に早いことでありますが、基本的なことが決まらないまま余り具体的に前進しているようには思えないのであります。  そこで、改めて関係団体や学識経験者等を交えた総合的・計画的な検討が必要であるように思いますが、県の考え方をお聞かせください。  次に、鹿児島ビジネスサポートセンターについてお尋ねいたします。  このビジネスサポートセンターは、東京有楽町のかごしま遊楽館に先般八月一日にオープンし、製造業を主とする十社が入居しております。  そこで、第一点として、十社の企業選定の考え方及び入居企業に対して、どのような支援をしていかれるのか。  第二点として、県内の企業にとって、主要都市に営業拠点を持つ意義は大きく、また、その企業の発展が本県経済の発展にプラスになることを考えれば、サポートセンターが東京だけでなく、今後、大阪、名古屋、福岡等、その他の主要都市へ設置するお考えはないのか。  第三点は、一昨年の三月議会において、遊楽館的なものを関西や福岡などに設置することをお願いいたしましたが、当面は、東京での運営状況やその成果などを見きわめながら、他の大都市への設置の可能性について検討するというお答えでありましたが、どのような検討状況になっているのかお伺いいたします。  次に、雇用対策についてお尋ねいたします。  全国の完全失業率は四・一%と、依然として高い水準で推移し、本県の有効求人倍率も〇・四六倍と低い水準にとどまったままで、引き続き厳しい状況にあります。  このような状況の中、四月に策定された総合経済対策において、政府は、今後の雇用対策として、緊急雇用開発プログラムの実施をうたい、企業における雇用の維持安定の支援、再就職の促進、雇用環境の厳しい地域の雇用機会の開発を目的した給付金制度等、各種の支援対策を打ち出しております。  しかしながら、これらの緊急施策が、県民には余り理解されていないように思いますので、各種支援対策の内容と県の取り組みについてお伺いいたします。  あわせて来春の新規学卒者の就職見通しについてお伺いするとともに、一層の就職促進策についてお聞かせください。    [知事須賀龍郎君登壇] 16 ◯知事(須賀龍郎君)本県経済の動向を見てみますと、生産活動は全体として弱含みで推移しておりまして、建設関連では、民間工事が住宅建設を中心に低調に推移しているところであります。  また、個人消費につきましては、百貨店売り上げ、乗用車販売を中心といたしまして不振が続いております。  労働需給につきましても、引き続き厳しさを増しているところであります。
     このように最終需要は低調となっておりまして、県内経済につきましては、依然として低迷していると認識をいたしております。  県といたしましては、県内経済の動向等にも十分配慮し、これまでも公共事業等の傾斜配分によります事業費の確保や中小企業の金融対策として、金利の引き下げ、融資条件の緩和、融資枠の拡大、保証料率の引き上げなどにも努めてきたところでありますが、今回の補正予算におきましても、一日も早い景気回復に向けまして、国の総合経済対策に呼応するものを含めまして、公共事業等につきましても、さらに傾斜配分による事業費の確保に努めますとともに、県単公共事業につきましても、積極的な対応を図ってきたところであります。今後とも県内景気の動向などを注視し、適切な対応をしてまいりたいと考えております。  鹿児島ビジネスサポートセンターの入居企業の選定につきましては、首都圏での事業活動の必要性、事業展開の意欲、事業の発展可能性、業種のバランス等をもとにいたしまして、利用者選考委員会での総合的な検討結果を踏まえて決定をしたところであります。  入居企業に対しましては、貸しブースや商談室を初め、ファックスなどのサービスの提供を行っているところであります。  また、入居企業へのアドバイスや消費動向を的確にとらえた商品開発や営業活動の強化によります受注拡大のために、民間企業のOBの方を鹿児島技術サポートセンター所長として配置をいたしまして、ビジネス上の情報収集、指導、助言、営業先等の紹介のほか、入居企業相互の情報交換の場の提供など、今後とも事業活動の側面的な支援を行うことといたしております。  なお、他の主要都市における技術サポートセンターの設置可能性につきましては、東京におきます成果や県内企業の進出意向等も見きわめながら、今後、検討してまいりたいと考えております。  また、遊楽館的なものを関西や福岡に設置することにつきましては、県外事務所との連携も図りながら、現地の市場動向や東京におきます運営、ノーハウの蓄積、関係機関・団体、企業等の意向も踏まえながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。 17 ◯商工労働部長(松尾隆之君)中小企業を取り巻く経済情勢にかんがみ、県中小企業融資制度につきまして、去る六月に融資率の引き下げ、長期運転資金などの融資枠の拡大、保証料の引き下げなど融資保証条件を改善したところでございます。  さらに、県信用保証協会の経営基盤をより一層強固にし、保証能力を高めるため、同協会に出捐を行うとともに、担保の徴求についても一層の弾力的な対応を取るよう要請したところでございます。  この結果、八月末における今年度の県中小企業融資制度の融資実績は、対前年度同期比で見ますと、長期運転資金では一二二・六%、小口資金では一〇一・六%となっております。  また、県信用保証協会の今年度の保証承諾は、八月末で、対前年同期比一二〇%で、特に無担保保証は一六七・六%となっております。  国におきましては、去る八月二十八日、中小企業等貸し渋り大綱対策の閣議決定がなされ、中小企業に対する信用補完制度の拡充、政府系金融機関の融資制度の拡充等を講じることになりました。  これに基づきまして、保証要件を緩和した特別の保証制度の創設や中小企業信用保険法の無担保保険、特別小口保険の保険限度額の引き上げなどの措置を行うこととしております。  本県におきましても、国の改正に合わせまして、県融資制度の小口資金、特別資金等の融資限度額を現行七百五十万円から一千万円に引き上げることとしております。  県内中小企業に対する金融支援につきましては、国や関係機関とも連携を密にするとともに、引き続き各般の制度を活用するなど迅速・的確に対応してまいりたいと考えております。  次に、第三期国分・隼人テクノポリス開発計画につきましては、これまでの実績や環境変化を踏まえまして、平成十二年度を目標年次とし、県総合基本計画第三期実施計画との整合性を図るとともに、国が示した開発指針に沿いまして、産・学・官連携による研究開発活動の一層の活発化、起業化の推進、創造的企業の育成・創出や企業立地の積極的展開、活力ある産業と社会を支えるインフラ整備等進めることとしております。  起業化支援センターにつきましては、研究開発から企業化までの技術面から資金面、経営面に至るまで、大学、県、民間の既存の支援機関の連携による総合的支援体制を整備する中で、その中心的役割を果たす機関として設けることとしております。  県といたしましては、起業化支援センターを核に企業化サイドからのさまざまなニーズに対しまして、情報提供や助言・指導、コーディネート等を行い、県、大学等の有する技術シーズや研究開発成果の活用など産・学・官連携や技術移転を積極的に進めたいと考えております。  工業技術センター等の所有する特許等につきましては、工業技術センター及び大島紬技術指導センターの研究成果として、特許権を取得したものが二十一件、出願中のものが十八件、合計三十九件ございます。  県といたしましては、これら特許や技術が有効に活用されるようPRに努めており、竹平板の製造装置や大島紬の摩擦による色落ち防止法など七件の特許につきましては、十企業と特許使用契約をし、その活用を図っているところでございます。  また、シラスを細かく粉砕し、加熱処理した微粒子シラスバルーンを使った製品の開発、電子ノイズによる電子機器の誤作動を事前に防止する装置の開発等、産・学・官共同研究の起業化や特許の実用化に努めているところであります。  今後とも産・学・官の連携を一層強化するとともに、新商品の開発や新規産業の創出に努めてまいりたいと考えております。  竹平板につきましては、工業技術センターで平成六年に研究開発し、その製造方法及び装置の特許を取得しており、建築材のフローリング、壁板等として製品化され、これまで主として個人住宅向け建築へ利用されてきておりますが、平成九年度からは、国分高校を初め、宮之城農業高校、宮之城高校など公的施設の建築資材としての活用にも努めております。  今後とも公的施設での活用はもとより、個人建築向けの低コスト化のため、工業技術センターにおきまして、竹平板をさらに薄くする技術開発を進めるとともに、竹手すりの製作商品化、東京遊楽館での展示、毎年十月福岡で開催される九州産業フェアや、十一月に宮之城町で開催される全国竹の大会への出品・展示などを通じてPRし、県内外での販路拡大の支援に努めてまいりたいと考えております。  霧島くりの中核工業団地につきましては、県総合基本計画戦略プロジェクト、鹿児島空港都市の建設の一環として、空港やインターチェンジに近接した栗野町米永地区に豊かな自然環境を生かした環境共生型の開発を行い、高付加価値型のハイテク企業や研究開発型企業など地域の産業をリードし、地域経済の活性化に寄与する中核的産業拠点を整備することとしております。  平成十年度は、現在、共同事業者である地域振興整備公団において基本設計の策定を行っているところでございます。  これを待って、関連公共事業費の調整や土地取得の準備など諸般の手続を進め、国の事業採択を目指すこととしております。  また、今後の企業立地の展望につきましては、栗野町を含む姶良地域におきまして、造成済み工業団地二十一団地のうち十八団地はすべて分譲済みであること。この地域が交通インフラに恵まれ、かつ当該地域にはIC関連企業等の工業集積があるなど、すぐれた立地条件を備えていることから、企業の立地が期待できるものと考えております。  観光客の誘致につきましては、観光かごしまテンミリオンプランを積極的に推進しているところであり、特に観光客のニーズが高まりつつある自然・健康・体験志向等に対応して、鹿児島の新しい観光素材の発掘や新たな旅のメニューづくりに取り組んでいるところでございます。  薩摩焼発祥四百周年につきましては、これまでポスターや窯元パンフレットの作成・配布等による広報宣伝に努めたほか、マスコミ・旅行エージェントの招待や旅行商品の企画、韓国の旅行業者等へのセールス活動など各種の誘客対策に積極的に取り組んだところでございます。  また、来年のザビエル上陸四百五十周年につきましては、リスボン国際博覧会等でのリーフレットの配布や外国プレスの招待、歴史街道マップの作成・配布など国内外への情報発信に努めているところでございます。  今後とも観光鹿児島大キャンペーン推進など民間と行政が一体となって観光客の誘客に努めてまいりたいと考えております。  物産観光センターにつきましては、これまで他県の類似施設の調査に加え、関係業界や団体等からの意見を聴取したほか、建設適地の情報収集などを実施してまいりました。  それによると、多くの施設が集客、採算性で課題を抱えており、設置場所を初め、整備すべき機能や施設内容等最近の経済状況をも踏まえながら、どのような展開を行うか、慎重に検討する必要があると考えております。  今後は、これまでの調査結果なども踏まえ、設置場所や他の施設との複合化、連携の可能性などについて検討を加え、関係業界・団体等の意見を参考にしながら、所要の取り組みを進めてまいりたいと考えております。  緊急雇用開発プログラムにつきましては、具体的には、第一に、雇用調整助成金の拡充による雇用維持の支援、出向再就職のあっせん等による失業なき労働移動の支援。第二に、離職者の再就職を促進するため、特定求職者雇用開発助成金の拡充や求人確保のための求人開拓推進員の増員、並びに公共職業訓練の機動的・弾力的な実施。第三に、雇用環境の厳しい地域における雇用創出の支援やベンチャー企業等中小企業の支援等を行うこととなっております。  経済団体、各企業に対して、このようなプログラムにつきまして周知徹底を努めているところでございます。  また、県におきましても、総合基本計画の第三期実施計画で、活力産業創造プランを掲げ、新規産業の創出等を支援することとしており、これとあわせて本緊急雇用開発プログラムに盛り込まれた各種雇用援護制度の積極的な活用を図りながら、一層の雇用の開発・安定に努めてまいりたいと考えております。  来春の新規学卒者の採用選考は始まっておりますが、八月末までの県下公共職業安定所における県内の求人受理状況を見ますと、前年同期に比べ、高校で約三割、大学等で約二割減少しており、新規学卒者にとっては極めて厳しい状況でございます。  県といたしましては、これまで経済団体に対し、採用枠拡大と早期求人申し込みの要請を行ったほか、高校生を対象とした職場見学の実施や県内企業と高校就職指導担当者との情報交換会を開催したところであり、さらに三十人以上規模の県内企業約二千二百社に対し、八月末に求人確保の要請を行ったところでございます。  今後とも関係団体や学校との連携を密にしながら一層の求人の確保を図るとともに、十月六日には、大学等の就職面接会を開催するなど、さらに就職促進に努めてまいりたいと考えております。 18 ◯企画部長(和田正道君)鹿児島臨空団地につきましては、現在、用地買収がほぼ終了いたしましておることから、本年度中に測量や実施設計に着手し、平成十一年度には、調整池や団地内道路等の整備を行うことといたしております。  この団地への企業誘致につきましては、昨年十月に県内外の企業に対し、立地意向調査を実施いたしましたところ、数社から、条件が合えばこの団地への進出を検討したいとの回答がございました。  今後、全庁的な体制のもとに企業訪問を行うなど、この団地への企業誘致に努めてまいりたい、このように考えております。 19 ◯保健福祉部長(矢島鉄也君)国立療養所霧島病院の統合問題につきましては、平成十年四月二十一日に隼人町地域医療審議会から国立療養所霧島病院については、隼人町が単独で引き受けた上で姶良郡医師会へ管理委託し、地域の中核的医療センターとして展開することが望ましいとの答申がなされたところでございます。  県といたしましては、地域医療の確保・充実を図ることが重要であると考えておりまして、今後とも町とも十分連携を図りながら、地域の医療事情、地元意向が反映されるよう国に対して要望するなど、引き続き適切に対処してまいりたいと考えております。  旧国立療養所阿久根病院は、平成元年十月に出水郡医師会へ経営委譲され、出水郡医師会立阿久根市民病院として開設をされております。  委譲後は、診療科目、病床数等の充実・強化が図られた結果、患者数が大幅に増加しておりまして、委譲後の経営も順調であるなど、地域の中核的医療機関の役割を果たしております。  また、旧国立療養所志布志病院は、平成九年十二月に曽於郡医師会へ経営委譲され、曽於郡医師会立有明病院として開設されております。  現在は、診療科目の増設や療養型病床群の整備などに取り組んでおり、入院及び外来患者も前年同期に比べ増加しているなど、順調に経営がなされておるというふうに考えております。    [田之上耕三君登壇] 20 ◯田之上耕三君 御答弁をいただきました。  中小企業金融対策について、融資枠の拡大や融資条件の緩和、信用保証の強化などが図られておりますが、景気の低迷状態が続いていることから、我が党は、中小企業等貸し渋り対策大綱を定め、特に信用保証面における対策を強化しようとしているところであります。  テクノポリス第三期計画が承認されましたが、国が示した開発指針に沿って、産・学・官連携の強化等による研究開発活動の活発化や企業化支援センターの設置などによって、今後、テクノポリスの一層の発展が図られるよう要請いたしておきます。  以上、行財政問題を初め、日米共同訓練や商工労働、教育問題などについてお尋ねしてまいりました。当面、県政最大の課題は、景気の回復であり、景気対策であります。  今回、六月補正に続いて公共事業を中心とした大型の補正を提案していただきました。今後とも県内景気の動向を注視し、適切な対応をしていただきますよう強くお願いをいたしまして、自由民主党県議団の代表質問午前の部を終わります。  午後は池畑議員に引き継ぎますので、よろしくお願いをいたします。  ありがとうございました。(拍手) 21 ◯議長(溝口宏二君)ここで休憩いたします。  再開は午後一時十五分からといたします。         午後零時 一分休憩       ─────────────         午後一時十五分開議 22 ◯議長(溝口宏二君)再開いたします。  池畑憲一君に発言を許可いたします。    [池畑憲一君登壇](拍手) 23 ◯池畑憲一君 午前中に引き続きまして、自由民主党県議団の代表質問を続けてまいります。  まず、宇宙開発に関連してお尋ねいたします。  県は、次世代の宇宙開発の中心となる宇宙往還機の開発計画を積極的に支援するため、平成七年十二月に馬毛島に宇宙往還機の着陸場を誘致することを決定され、開発促進協議会を通じ、官民一体となって国や関係団体に積極的に働きかけてこられましたが、先日の新聞で「日本版スペースシャトルや次世代ロケットなどの研究開発が中部太平洋赤道直下のキリバス共和国クリスマス島を舞台に展開される見通しになった」と報道されたことから、このことが馬毛島への宇宙往還機着陸場誘致にどのような影響があると考えられるのか。また、種子島宇宙センターの位置づけに変化はないのか、お伺いをいたします。  次に、航空路線の維持対策についてお尋ねいたします。  第一は、エアーニッポン奄美・沖縄路線の維持対策についてであります。奄美と沖縄は古来より、地理的にも歴史的にも極めて深いつながりを持ちながら、今日まで営々として独自の文化圏域を形づくってまいりました。情熱と活気あふれる踊りの舞いや、哀愁を帯びた島うたの響きは、まさに他に類を見ない琉球文化の貴重な産物にほかなりません。航空路線は両地域のそのような、とうといきずなをはぐくむかけがえのない生命線でありますだけに、エアーニッポンによる今回の運航休止表明が地域に与えた衝撃の大きさは計り知れないものがあります。幸い、知事みずからの熱心な存続要請や関係市町村、団体による賢明な存続運動のかいあって、当初七月からの運航休止が九月、十月、さらには十一月まで延期され、関係者一同つかの間ではありますが、胸をなで下ろしたところであります。しかしながら、現実には利用促進キャンペーンツアーなど、各般にわたる利用促進活動にもかかわらず、利用率は依然として低迷したままであり、運航休止を目前に控えた今、このままで推移するとエアーニッポンによる路線の維持は極めて厳しいものと推察せざるを得ません。県においては、厳しい離島空路の維持を図るため関係道県とともに、離島空路整備法の制定を国に要望しておられるところであります。  そこで第一点として、離島空路整備法制定の見直しについて。  第二点として、路線維持に向けた現在の取り組み状況と、今後の見通しについて。  第三点として、仮にエアーニッポンによる継続運航が不可能となった場合、他社の継承による路線維持が可能な状況にあるのか、明らかにしていただきたいのであります。  第二は、国際航空路線の維持対策についてであります。  鹿児島空港が来たるべき二十一世紀に向けて、南九州の拠点空港及び我が国のゲートウエー空港として確固たる地位を築いていくためには、国内線の充実とともに、国際線の維持拡充が欠かすことのできない必須の条件であります。  そのうち、ソウル線につきましては、韓国の通貨危機を契機に韓国内の海外旅行が自粛されたことから、韓国からの利用者が激減したものの、知事や県議会、県内の市町村、企業団体など県民一丸となった利用促進への取り組みが実を結び、ことしに入って利用率の向上が図られてきたとお聞きしております。  また、香港線についても中国返還後の香港離れやホテル代の高騰などにより利用客の減少が進み、一時期路線の維持が危惧されましたが、県や経済界などが中心となって展開した路線存続キャンペーンが功を奏し、七、八月の往復利用率は八〇%台までに回復し、来年三月までの運航継続が決定したようであります。これら鹿児島空港の国際線は、「魅力あふれる南の拠点かごしま」を目指す本県にとりまして、韓国、中国との交流拡大や、本県の観光振興を図る上で極めて重要な路線であり、いささかなりとも欠かすことのできないものと強く認識いたしております。  そこで、鹿児島空港の国際線の最近の利用状況と、利用促進に向けた今後の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。  次に、錦江湾みらい総合戦略についてお尋ねいたします。  城山に登り錦江湾と桜島が織りなす壮大で、風光明媚な配置の妙味に、いつもながら目を見張る思いがいたします。あたかも一幅の絵とも言うべき、その大パノラマはまさに郷土鹿児島の宝であり、県民の貴重な財産であります。県におかれては、本年度から錦江湾の魅力や価値の総合評価を行い、人々が楽しみ憩える快適な空間として、その利活用の方向性を検討するとともに、利活用の具体的方策や全国あるいは世界への情報発信、方策などにつきまして錦江湾みらい総合戦略を策定し、錦江湾とそのウォーターフロントの積極果敢な利活用を促進することされております。このため、策定に向けた第一歩として、この六月には総合戦略を策定するための組織として県と湾岸十五市町並びに関係団体で構成する錦江湾みらい総合戦略推進協議会を新たに設置され、また八月五日には、この協議会に対して必要な意見、提言を発する十一名の有識者からなる、検討委員会の第一回会合を開かれております。  さらに八月二十九日には、第十五桜島丸を会場として、県民の方々の錦江湾への関心を高めるともに活用策などの方向性を探るため、三百五十名を超える参加を得て錦江湾みらいフォーラムを開催されました。  そこで、これら一連の会議やイベントから得られた成果など、これまでの取り組み状況と合わせて戦略の策定スケジュールについて明らかにしてください。  次に、県内建設業者の育成についてお尋ねいたします。  日本列島総不況と呼ばれるほどの深刻な低迷状態から一日も早く脱却し、景気の浮揚を確実なものとするため、国においては財政再建という史上命題を一時棚上げして、昨年制定した財政構造改革法の凍結や総合経済対策に伴う大型補正予算の編成など、一転して積極果敢な景気刺激対策を講じております。  加えて小渕首相の政治公約である本年度の第二次補正予算や来年度の当初予算におきまして、公共事業予算の大幅確保と切れ目のない執行を確約するなど、景気浮揚に向けた国の取り組みには、まさに不退転の決意のほどを感じ取ることができるのであります。中央では道路や港湾、空港といったこれら公共事業に対し、一部に批判の声もありますが、社会資本整備の立ちおくれ、公共事業への依存度の高い本県では、これら一連の国の施策に心から歓迎の意を表するものであります。しかも、県におかれては、九月補正で経済対策関連事業百九十七億円を含む公共事業県単公共事業四百三十三億余万円を計上され、その総額は三千四百三十四億円に達し、前年同期を一四%上回ることになっております。しかしながら、県内ではこの公共事業の拡大にもかかわらず、受注が偏在し、特にB、C、D級業者には、その恩恵が少ないという実情にあり、不況にあえいでおります。御承知のとおり、ほとんどが中小企業でありますが、本県経済を支えているのも事実であります。  一方、企業自身もみずから積極的に体質強化を図り、厳しい不況に対処することはもちろん、県としてもその育成保護を図っていくことが肝要であります。  そこで、このような未曾有の景気低迷期でありますだけに、とりわけ今回の景気対策を指針に実効あるものにするため、地元中小建設業者の育成という観点から、公共工事の発注のあり方や、受注機会の拡大についてどのように把握し、どのように取り組んでおられるのか。また企業みずからが積極的に体質強化を図る中で、入札契約手続の透明性の向上など適正な競争環境を整備していくことも必要と考えますが、予定価格の事後公表制度について、どのように取り組んでおられるのかお伺いをいたします。  次に、鹿児島港本港区における離島航路の集約問題についてお尋ねいたします。  鹿児島港は年々その整備が進められ、施設、機能ともに本県の海の玄関口にふさわしい整備が図られてまいりました。しかしながら、来年度に予定されている奄美・沖縄航路の鹿児島新港から北埠頭への移転問題については、県旅客船協会がコンテナ置き場の不足や、離岸及び接岸時の安全を理由に移転を拒否し、協議が暗礁に乗り上げた形になっており、計画どおり移転ができるのかどうか大きな危惧を抱いているところであります。この移転問題が解決しないと南埠頭の整備を進めることはできず、ひいては本港区全体の整備計画にも少なからぬ影響を生じます。このため県におかれては、昨年度から埠頭利用の実態調査を実施され、問題点とされている土地利用、交通渋滞、潮流、風の四点については、いずれも基本的には支障はなく、大筋では旅客船協会等の理解もいただけるのではないかとのことでありましたが、先般、北埠頭を利用している発着船の船長等から安全性に問題があると指摘をされたところであります。  そこで、指摘された安全性に対する県の見解とあわせて、一日も早い移転・合意を願いつつ、現在の協議の状況と今後の見通しについてお聞かせください。    [知事須賀龍郎君登壇] 24 ◯知事(須賀龍郎君)宇宙往還機の開発につきましては、国は従来から技術試験用でありますホープXの着陸場につきましては、クリスマス島を候補地として検討してきておりますが、実用段階の宇宙往還機開発計画につきましては、ホープXの技術試験の結果を踏まえまして、今後検討する方針であると聞いております。今回の報道につきまして国に確認いたしましたところ、キリバス共和国と土地の借用について交渉はいたしておりますものの、まだ合意には達していないということでございました。  また、実用段階の宇宙往還機開発計画につきましては、ホープXの試験結果を見て、今後検討するということになるということでありました。本県が馬毛島に誘致を要望しております宇宙往還機着陸場は実用段階のものでございまして、まだ国はこの着陸場の建設場所につきましては国内外の適地につきまして、検討を行うこととしておりまして、今後とも関係市町、関係団体とも一体となりまして県開発促進協議会等を通じまして、その実現に向けてさらに強く要望してまいりたいと考えております。  種子島宇宙センターの位置づけにつきましては、国は、宇宙開発計画に基づきまして、種子島宇宙センターにおいて、人工衛星及びロケットの打ち上げ施設の整備を今後とも進めるということであります。また、ロケット推進再使用型宇宙輸送機などの次世代ロケットは、現在研究段階でありまして、今後開発がどのように進められるか明確ではございませんが、国は種子島宇宙センターを我が国のロケットの打ち上げ施設して十分活用していく意向であり、県としてもこの趣旨に沿いまして可能な限り協力をしてまいりたいと考えております。  次は、奄美・沖縄間の航空路線につきましては、エアーニッポン株式会社から、この路線は利用率が低いということから運休したい旨の申し出がありました。このために地元市町村とも一体となりまして、利用促進に努めながら私自身もエアーニッポンを訪問するなど、同社に対しまして運航を継続するよう強く要請をしてきたところであります。しかしながら、エアーニッポンによります同路線の継続運航は極めて困難な状況にあります。これまで国や沖縄県などと緊密な連携のもとに、ほかの航空会社の小型機によります運航についても検討をしてまいりましたが、この路線につきましては現在、琉球エアコミューター株式会社が小型機によりまして、運航に空白期間が生じない形で、来年の早い時期に路線を引き継ぐ方向で現在、関係機関等と協議を進めているところであります。この路線は、地元住民や観光客にとりまして極めて重要な路線でございますので、今後とも関係機関、団体と一体となりまして路線の維持が図られるよう、さらに努力をしてまいりたいと考えております。  離島空路整備法の制定につきましては、これまで県開発促進協議会や関係六道県で構成いたしております離島航空路問題協議会等を通じまして、国に対しまして法律を制定し、離島航空路線に対する運航費補助制度の創設や機材購入費補助の拡充等を行うよう強く要請をしてきたところであります。国は、平成十一年度政府予算の概算要求におきまして、法律に基づくものではございませんが、特定の離島航空路線に対する運航費補助制度の創設、航空機燃料税や着陸料の軽減など離島航空路線の維持確保を図りますための総合的な支援方策を講じることといたしております。  離島空路整備法の制定につきましては、今後とも関係国会議員、関係機関、団体との緊密な連携を図りながら国に対しまして新たな法律の制定につきまして、さらに強く働きかけてまいりたいと考えております。  次は、県内建設業の育成は本県の産業振興や社会基盤の整備促進を図る上からも重要な課題であり、県では国の総合経済対策や県内経済への配慮から、平成十年度公共事業等の上半期契約目標率を八二%に設定いたしますとともに、補正予算によります公共事業や県単公共事業の予算確保に努めてきたところであります。しかしながら、県内の中小建設業者におきましては、民間工事が減少していることや、災害復旧事業が前年度に比べまして大幅に減少していることなどから、厳しい状況にあると認識をいたしております。このようなことから、公共事業等の発注に当たりましては、公募型指名競争入札の対象額をこれまで五億円以上でありましたものを、三億円以上に引き下げることといたしまして、現在、その事務処理期間の短縮等につきまして検討を行っているところであります。また、県内の中小建設業者の受注機会の増大を図る観点から分離分割発注等によりまして、県内業者への優先発注に、さらに努めてまいりたいと考えております。  次は、予定価格の事後公表についてでありますが、入札、契約手続の透明性の一層の向上や建設業者の積算能力の向上に資する面もありますので、現在、県の入札手続等改善検討委員会におきまして、予定価格の事後公表の対象、公表の方法等について最終的な取りまとめを行っているところであります。できれば平成十年十一月一日から、この予定価格の事後公表を実施してまいりたいと考えております。
    25 ◯企画部長(和田正道君)鹿児島空港発着の国際航空路線の維持存続につきましては、本県が目指しております「魅力あふれる南の拠点鹿児島」を実現する上で極めて重要であると考えております。このため、これまでも県議会の皆様方を初め、県商工会議所連合会、市町村など関係機関、団体と一体となって、国際航空路線の利用促進に努めてきたところでございまして、最近では先ほどお話がありましたとおり、ソウル線、香港線は七〇%を超える高い利用率を維持しているところでございます。しかしながら、国際航空路線を取り巻く環境は依然として厳しい状況にありますことから、県といたしましては引き続き主要な団体や企業への文書や直接訪問による利用促進の要請、あるいは各種会議等におきます利用促進の協力要請、旅行エージェントへの格安ツアー商品の企画の要請などを行いますとともに、国際交流促進ツアーの助成枠の拡大、パスポート取得のためのキャンペーンの実施、薩摩焼発祥四百周年事業と連携した交流促進等によりまして、今後とも鹿児島空港発着の国際航空路線のより一層の利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、錦江湾みらい総合戦略につきましては、先ほどお話がありましたとおり、去る六月に県湾岸十五市町及び関係団体で構成する錦江湾みらい総合戦略推進協議会を設置いたしますとともに、県内外の有識者からなる検討委員会を開催するなど、策定に向けた作業を進めているところでございます。  また去る八月二十九日、錦江湾の利活用の方策等を探るため、フェリー船上におきまして錦江湾みらいフォーラムを開催いたしましたが、三百五十名を超える県民の方々に御参加をいただき、錦江湾に対する県民の関心を高めることもできたのではないかと考えております。検討委員会やフォーラムにおきましては、錦江湾を海洋レクリエーションや青少年の体験学習の場としての活用、あるいは湾岸各施設へのアクセス交通網の整備の必要性、また錦江湾の魅力を生かした観光保養拠点づくりの推進などの意見が出されましたが、これはいずれも今後総合戦略の策定を進める上で有意義なものであったと考えております。今後こられの意見等も参考にしながら、さらに推進協議会や検討委員会等で検討を進め、本年度中に錦江湾みらい総合戦略を取りまとめたいと考えております。 26 ◯土木部長(板垣 治君)鹿児島港本港区への離島航路集約に関連して、県旅客船協会から北埠頭では離接岸時に操船が困難であるとの懸念が提起されたことから、潮流や風の調査等を実施してきたところでございます。これらの調査結果につきましては、県旅客船協会にも提示し、これまで数回協議を行い議論を重ねてきております。県といたしましては、本問題につきまして基本的には支障はないと考えていますが、関係者の理解を得ることが重要であることから、近く第三者を入れた意見交換会を開くなど、さらに協議を進め、本集約問題の早期解決に努めてまいりたいと考えております。    [池畑憲一君登壇] 27 ◯池畑憲一君 御答弁をいただきました。  航空路線の維持については、ソウル線及び香港線は利用促進キャンペーン等が功を奏し、利用率も回復してきたようでありますが、これで問題がすべて解決したわけではありません。奄美・沖縄路線も十二月以降はどうなるのか、離島空路整備法の制定を初め、引き続いての交流の一層の促進を要請いたします。  錦江湾みらい総合戦略は、錦江湾という本県の宝であり、県民の貴重な財産を積極的に活用しようというものであります。そのみらいという名が示すように、長期的な視点の中で段階的、計画的な推進を図っていただきたいのであります。  県内建設業者の育成については、県内業者の倒産が多く、またここのところ県外業者への発注が増加しているように見えることからお答えをいただいたように、景気対策として県内建設業者、特に中小規模建設業者への受注機会の増大を図るため、工事の分離・分割発注や県単事業の配分、共同企業体の活用など幅広い配慮をされ、その育成を図っていただきたい。このことは土木部だけでなく、農政部や林務水産部を含めてお願いをいたします。  次に、鹿児島東西幹線道路の整備についてお尋ねいたします。  南九州西周り自動車道の整備が順調に進む中で、西回り自動車道の鹿児島市側の出口である鹿児島インターチェンジから武岡トンネル、中洲陸橋付近にかけては、西郷団地など周辺の大型団地からの乗り入れや、九州縦貫自動車道や指宿スカイラインからのアクセスも相まって慢性的な交通渋滞が続いていることから、この緩和を図るため地域高規格道路の調査区間に指定されている鹿児島東西幹線道路の建設の必要性が日増しに高まってきております。このため、国・県・鹿児島市の三者で三月に協議会を設置され、この道路の一日も早い整備着手に向けて、これまで三回にわたり会合を開かれ、具体的な工法や事業方式等について協議を重ねてこられました。  去る八月十八日に行われた三回目の会合では、事業化に先立つ都市計画決定のあり方等について、種々議論がなされたと伺っております。しかしながら、いかんせん、この道路の整備に当たっては市街地内の大規模な事業であり、多大の建設費を要するものと想定されることから、整備手法等クリアしなければならない課題が山積しております。しかも、緊急を要する事業だけに、事は慎重さと速やかさが合わせて要求されます。  そこで、これまでの協議内容と、それを含めた現在の取り組みの状況、並びに一番気にかかっております、今後の整備に向けた見通しについて明らかにしてください。  次に、海砂採取についてお尋ねいたします。  社会資本整備の立ちおくれた本県において、海砂は公共事業等を推進する上で不可欠な骨材であります。一方、二百海里時代の到来や、資源状態の悪化など水産業をめぐる情勢が厳しい中で、豊かな漁場を維持確保することもまた極めて重要であります。このような状況で阿久根市沖から南薩海域に至る西部海域の海砂採取について、これまで漁業関係者との調整がつかず、難航していると伺っておりますが、県勢発展の立場から一日も早い円満な解決を望むものであります。  そこで、第一点として、県側が主張されている海砂の公共事業用資材としての位置づけについて、歴史的な経緯や海砂に依存せざるを得ない理由等を含めて、どのように考えておられるのか。  第二点は、長期に及ぶこれまでの協議の中で、具体的にどのような議論が交わされて今日に至っているのか、協議の内容を示していただくとともに、この問題に関する協議会を設置するための予算を本議会に提案されたことから、早期決着への期待が高まっておりますが、今後の協議妥結への見通しについてお伺いをいたします。  第三点は、今後骨材の安定的な供給を図るため、限りある海砂の採取に依存する割合を減少させる一方で、これにかわる代替骨材の開発を急ぐべきであると考えますが、これについての見解をお聞かせください。  次に、農業の振興についてお尋ねいたします。  第一は、食料農業農村基本問題調査会の最終答申についてであります。国においては、新たな時代に対応し得る農政の将来展望を明らかにするため、昨年四月に食料農業農村基本問題調査会が設置され、新たな農業基本法の制定を含む、中・長期的な政策の方向づけについて議論が進められ、昨年十二月には中間取りまとめにより今後の基本的な食料、農業、農村のあり方が示されました。この間、本県においては、本年五月、本県の地域特性を考慮し、水田農業のみならず、畑作や畜産を含めた幅広い農業振興対策を要望されたところであります。この基本法が農業をめぐる国際環境や、我が国農業農村の実情を踏まえた上で、畑作や畜産を含む二十一世紀を見据えた国民合意の基本法として、食糧の安定供給の確保と国際化に対応した力強いものになることを期待いたします。先般、新たな農業基本法に関する調査会の最終答申が公表されましたが、中でもさきの中間取りまとめで焦点となった食糧自給率の政策目標化については、国民全体の理解を得た上で食糧自給率の目標を掲げる意義を協調し、株式会社の農地取得については、農家を主体とした農業生産法人などを条件つきで認め、さらに中山間地域への直接所得補償導入については、新た公的支援策として積極的な評価がなされております。ついては、今回の最終答申で示された内容について、県の考え方をお聞かせください。  第二は、特殊病害虫防除対策の推進についてであります。サツマイモの害虫であるアリモドキゾウムシとイモゾウムシが、昨年十二月に屋久島で発生が確認され、国の緊急防除に基づく移動禁止措置や農薬散布などの防除対策が講じられております。また、ことし七月には、山川町でアリモドキゾウムシの発生が確認され、県や町によるサツマイモの堀り取り処分や、農薬散布による駆除が行われました。今後とも本県農産物の安定生産を図るため、関係機関一体となった万全の防除対策や監視体制の強化が望まれるところであります。  そこで、屋久島のアリモドキゾウムシ等の緊急防除対策と山川町の発生地域での防除状況、また未発生地域での発生していないことを確認するための調査の実施状況についてお聞かせください。  第三は、米対策についてであります。  ことしも生産調整の目標面積は、全国ベースで九十六万三千ヘクタール、本県においては二万六百七ヘクタールで、減反率四二%という、いずれも過去最大のものになりましたが、今後の稲作経営安定に向けた生産調整の目標達成のため、生産者、関係機関、団体が一体となった並々ならぬ努力がなされているところであります。また、今後の価格動向に対する不安が増大しつつある中にあって、消費者ニーズの変化、流通形態の激変に対応し、本県の特徴を生かした売れる米づくりを進め、産地間競争に対応した早期米等、県産米の消費拡大を図る必要があります。  新聞情報によると、全国的にも早進化が進んでいる中で、日本と気候が反対の南半球のオーストラリアでは三月から六月に収穫されることから、新米と銘打ったオーストラリア産コシヒカリがよく売れているようで、鹿児島の早期米にとって強敵になりそうだと報じられております。ついては、生産調整の達成状況と転作の内容、あわせて県産米の消費拡大に向けた施策等についてお伺いをいたします。  第四は、サトウキビの生産振興についてであります。  南西諸島の基幹作物であるサトウキビについては、生産農家の減少や高齢化、他作物との労力の競合による収穫労力の不足などから、収穫面積、生産量ともに減少傾向にあり、原料不足が製糖工場の存続問題にまで発展するに至っております。このため、県においてはサトウキビの収穫面積の確保や、反収増、品質向上対策とともに、各島製糖会社の経営合理化を具体的に推進するための施策として、島別のサトウキビ、糖業ルネッサンス計画を策定し、サトウキビと糖業の活性化に努めておられるところであります。そこで、この計画の策定状況とこの計画を達成するための県の支援策についてお示しください。  第五は、肉用牛の生産振興についてであります。  本県は全国一の畜産県で、とりわけ黒毛和牛と黒豚は世界に誇るブランドとも言われておりますが、その畜産が厳しい国際競争にさらされ、より良質で産肉能力の高い肉質の開発が要求されております。  去る七月二十四日、県肉用牛改良研究所で誕生したクローン牛は残念ながら翌日死亡してしまいましたが、DNA鑑定の結果、国内初めての胎児の体細胞によるクローン牛であることが確認されました。その後、二例目となりますクローン牛が八月十八日に誕生し、「隼人」と命名されて現在、元気に育っていることはまことにうれしいことであり、関係者の御苦労に感謝する次第であります。このクローン牛は、種雄牛の耳の皮膚細胞を使った血統、能力等がはっきりしている、クローン牛としては県内初の事例と聞いており、今後のクローン技術が県内畜産の振興に大きく貢献するものと期待しているところであります。  ついては、今回のクローン牛誕生の意義を説明していただくとともに、クローン技術の実用化に向けた課題と今後の取り組みについてお聞かせください。あわせて肥育牛農家の経営安定を図るため、価格の変動による損失を補てんする肥育牛価格安定制度の拡充についてお伺いをいたします。  第六は、農業系高校の施設整備の改善計画についてであります。  本県にとって、農業は基幹産業でありますが、その農業の後継者育成を担っている農業系高校については、最近の農業技術の進展に伴う新しい設備、機械の導入等、時代の変遷に対応して教育のできる魅力ある学校づくりが必要不可欠であると思うのであります。農業系高校については、百年を超える伝統のある学校もありますが、建物等は老朽化が進んでおり、入学希望者も減少する傾向にあると聞いております。  そこで、農業系高校の施設設備の改善計画についてお聞かせください。  次に、林業及び水産業の振興についてお尋ねいたします。  第一は、全国育樹祭の開催と森林の整備についてであります。  森林林業をめぐる情勢は、木材価格の低迷による採算性の悪化や担い手の減少などにより、管理不十分な森林が見受けられる一方で、水資源の確保や県土の保全など森林の持つ公益的機能の高度発揮に対する県民の期待が高まってきております。特に本県においては平成五年の集中豪雨と台風、六年の異常渇水、昨年の北西部の地震など自然災害の多発等を背景に、山地災害の防止、水資源の涵養機能等多面的な機能を持つ森林の果たす役割に大きな期待が寄せられているところであります。このような中で、平成十三年に第二十五回全国育樹祭が本県で開催されることが正式に決定され、二十一世紀最初の都市のイベントとして県民の愛林思想の高揚と育樹活動の推進に大きな成果を挙げることを期待するものであります。  そこで第一点として、全国育樹祭を本県で開催することの意義と、今後、森林整備を推進するに当たっての基本的な考え方についてお聞かせください。  第二点は、学校林の活用についてであります。県立高校のうち三分の一の二十四校には学校林があり、自然に親しみ豊かな心を養う勤労体験学習も行われているようでありますが、そのほとんどが針葉樹で既に大きく成長しており、植林等の作業は難しくなっているようであります。  また、中学校については、教職員を対象に森林林業セミナーを開催しておられますが、参加十四名のさらなる増加と林業体験学習を実施されている三十八校のさらなる増加を要請してやみません。  そこで教育長にお尋ねいたしますが、森林保全や教育の教材として学校林の活用についての基本的な考え方をお示しください。また、学校林は森林資源の確保と森林保全からも適切に整備する必要があり、その意味からも現在の針葉樹一辺等の植林から照葉樹の導入等による多様な森林づくりの必要があると考えますが、学校林等に照葉樹の植林をする考えはないのか、お伺いをいたします。  第三点は、産直住宅の推進についてであります。  県産材の利用促進を図るため、これまで関西の伊丹市や神戸市、岡山市及び埼玉県の川口市の四カ所に、モデル展示住宅が建設され、これらモデル住宅への来場等を契機として、今まで百四十件の契約があったようであります。また、本年度は鹿児島市のほか沖縄地区等において、鹿児島材を使用した住宅を一定期間借り上げ、そこを拠点として普及啓発を行われる計画であります。しかし新聞報道によると、秋田県などが出資した第三セクターの建売住宅では、宣伝された質のよい秋田杉の利用は一部だけで、また地盤沈下や施工不良などで建物が傾くなどの欠陥があるものがテレビでも放映されており、秋田県ではこの九月議会に緊急に手当が必要な三十九戸の応急修理費一億三千万円余りを計上される模様でありますが、本県の産直住宅にはこのような欠陥住宅は一戸でもあってはなりません。  そこで、本県の産直住宅の状況と評判について、念のためお伺いをいたします。  第二は、沿岸沖合い漁業の振興についてであります。  最近の水産業を取り巻く環境は、資源状態の悪化、輸入水産物の急増、漁獲の低迷、漁業就業者の減少と高齢化の進行など一段と厳しさを増しております。そのような中で、県の水産業振興基本計画の資料編の中で、平成七年を基準年として平成二十二年、二〇一〇年の予測指標が発表されておりますが、経営体数や就業者数が減少する中で、沿岸漁業の生産量は二・五%の増、沖合い漁業は三・三%の増が予測されております。このため各海域の資源の有効利用と計画的、持続的な生産を実現するための魚のすみかづくりや、つくり育て管理する漁業の推進等が課題となっているところであります。  ついては、これらに対応した漁場の整備、種苗放流等栽培漁業や資源管理対策の推進についてお伺いをいたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 28 ◯知事(須賀龍郎君)新たな農業基本法の制定につきましては、去る九月十七日、国の食料農業農村基本問題調査会の最終答申が行われたところであります。中間取りまとめで両論併記となっておりました主要な論点につきましては、ただいま御指摘になられましたとおり、国内農業生産の維持拡大を図っていくべきであること。食糧自給率の目標を掲げることは意義があるものと考えられること。株式会社一般の農地取得による農業への算入は認められないが、投機的な農地の取得等の懸念を払拭できるものであれば、株式会社の算入の道を開くことも考えられること。中山間地域等への直接支払いの検討を行う必要があることなどとなっております。  さらに、答申におきましては、地域によって異なる生産条件等を生かした多種多様な生産を展開することが必要であること。食品の表示制度の見直しを行うこと。環境と調和した持続的な農法への転換を推進することが必要であることなどとしておりまして、これまでの本県の要望してきた線におおむね沿ったものであり、基本的には評価できるものと考えております。  国におきましては、今後、さらに検討の上で法案の取りまとめが行われると思いますが、新たな農業基本法が国民的合意のもとで制定され、本県農業農村にとりまして、より将来に展望が開けるものとなるように期待をしているところであります。  次は、全国育樹祭は、戦後植栽された我が国の人工林が一千万ヘクタールを超えることなどを契機といたしまして、保育の必要な若齢林を健全に育てる機運を盛り上げることを目的として、全国植樹祭と並ぶ国民的な行事として開催されることとなったものであります。本県の森林も手入れを必要とする若齢の人工林が多いことから、林齢に応じた適切な維持、管理を行うことが重要な課題となっているところでありまして、県としては全国育樹祭の開催を通じまして、これら森林の整備の必要性について、県民の理解を深めるなど、いわゆる愛林思想を一層高め、県民総参加の緑豊かな県土づくりを推進してまいりたいと考えております。  森林整備につきましては、県の森林林業振興基本計画でお示ししておりますとおり、木材の生産機能の高度発揮を重視する森林、水源涵養及び産地災害防止機能の高度発揮を重視する森林、保健文化機能や生活環境保全機能の高度発揮を重視する森林の三つの類型に区分をいたしまして、おのおのの機能区分に応じた適切な整備を推進してまいりたいと考えております。 29 ◯土木部長(板垣 治君)鹿児島東西幹線道路につきましては、これまで三回の協議会を開催し、ルートにつきましては中洲通を基本とし、幹線道路のネットワークの形成の観点から国道二百二十五号までの都市計画決定を行う必要があること。高麗本通線までの区間を当面整備が急がれる区間として、早急に具体化を図る必要があること。多額の事業費を要する大事業であり、早期整備を図るためには事業の手法について種々検討する必要があることなどについて協議をしてきたところであり、できるだけ早い時期に基本的な考え方を取りまとめることとしております。その後、協議会の基本的な考え方や地元の意見等を踏まえながら鹿児島市と一体となって都市計画決定に向けた計画案を作成することとなります。  県といたしましては、国や鹿児島市とも連携を図りながら、本道路の早期実現に引き続き努力してまいりたいと考えております。  本県における海砂採取は、昭和三十年代後半ごろから鹿児島湾奥で、その後、指宿沖や根占沖及び吹上浜沖での採取が行われております。本県は、地形・地質の状況から、河川砂やおか砂等の賦存地域が限られており、骨材資源としての砂に占める海砂の割合は、昭和五十年代の六、七割から年々減少の傾向にありますが、依然として海砂への依存度が高い現状にあります。海砂は、道路、港湾、漁港等の社会資本の整備に欠くことのできない重要な役割を果たしており、環境保全や漁業との調整を図りながら適正量を確保していく必要があると考えております。  平成十年度以降の西部海域の海砂採取計画につきましては、地元の関係者からの要請もあり、採取区域が特定の海域に偏らないよう採取区域のローテーション化を図ること等を基本とした採取計画案を、去る二月に関係漁協長や市町村長に提示したところでございます。その後、七月に開催された関係漁協長会議の中で、各漁協への説明の要請があったことから、関係漁協に対して、海砂採取の必要性や監視についての県の考え方等を説明するとともに、漁業者側の意見を聞いてきたところでございます。これまでの協議の中では、今後の海砂採取の減量見通しや漁業への影響調査の実施等について提起がなされたところであります。  県といたしましては、これらの問題に対処するため、専門家や関係団体をメンバーとする公共事業等骨材確保対策協議会を十月中に発足させ、この中で骨材確保対策や漁業影響調査の可能性等について検討することとしております。今後とも、このような県の対応策等を関係漁協長会議などの場において説明し、関係漁業者の理解と協力を得られるよう努めてまいりたいと考えております。  海砂にかわる骨材といたしましては、岩石を砕いた砕砂やシラス等の利用が考えられ、このうち砕砂につきましては年々利用がふえ、砂全体の一六%を占めるまでになってきております。またシラスにつきましては、これまで舗装の路盤材料の砂をシラスにかえるなど、砂の節減を図るとともに、県資源開発協議会や鹿児島大学等でシラスを使用したコンクリートの研究がなされており、利用の可能性が報告されていますが、強度や施工性等の問題があり、実用化に至っていないのが現状であります。海砂にかわる骨材の開発や利用は、水産資源の保護等の観点から極めて重要であることから、十月中に発足する公共事業等骨材加工対策協議会の中で、砕砂の利用の促進や砂使用の削減工法等を検討するとともに、シラスを使用したコンクリートの現場での試験施工等にも取り組んでまいりたいと考えております。 30 ◯農政部長(脇田 稔君)屋久島のアリモドキゾウムシ等の緊急防除対策につきましては、県職員の駐在発令や四名の専任防除員を設置しますとともに、地元に関係機関等で防除対策協議会を設置し、発生地域からのサツマイモの移動禁止、あるいは掘り取り・埋め込み処分、農薬散布、野アサガオの除去など、地域ぐるみの防除作業を実施しているところでございます。今後とも、早期根絶を目指し、徹底した防除対策を講じることといたしております。  山川町につきましては、発生確認後直ちに、町関係機関や農家と一体となってサツマイモの掘り取り・埋め込み処分、農薬散布などを実施した結果、局所的な発生であったこともあり、ほぼ根絶状態となっておりますが、今後一年間、発生周辺部も含め濃密にトラップを設置し、厳重に監視することといたしております。  また侵入警戒調査は、本年度は未発生の全市町村を対象に実施をしましたが、九月上旬、下甑村のごく一部の圃場で発生を確認したため、村、関係機関や農家による掘り取り・埋め込み処分、農薬散布など徹底した駆除を実施中でございます。なお、その他の市町村での発生は認められておりません。今後とも、発生地域からのサツマイモ等の持ち出し禁止の周知徹底など、広報活動の強化や未発生地域における侵入警戒調査の充実に努めてまいりたいと考えております。  米の生産調整につきましては、市町村、農協におきまして取りまとめている段階でございますが、六月三十日現在の県全体の目標面積に対する達成率は一〇〇・一%となっております。このことは、過去最大の生産調整規模となった中で、農家の理解、協力に加え、各地域において独自のとも補償や団地化の推進など、さまざまな工夫を講じつつ、行政、生産者、団体が一体となって懸命に推進に努力した結果と考えております。  また生産調整の実施内容では、稲から他の作物への転作が、前年に比べ約千六百ヘクタール余り増加しており、中でも助成金の引き上げが行われたことや重点的に推進されたこともありまして、飼料作物、大豆などが大きく増加をいたしております。このほか、作物を植えつけず、耕作可能な状態で水田を管理する自己保全管理やヒマワリなど景観形成作物の植栽などでの対応も増加をいたしております。今後とも、関係機関・団体と十分連携をとりながら確実な達成に努めてまいりたいと考えております。  全国的に販売環境が厳しくなる中で、県産米の販売促進を図るためには、品質向上による売れる米づくりに取り組みますとともに、県内消費を促進することは重要でございます。このため、県及び生産者団体等で構成する県米消費拡大推進協議会が中心となりまして、県内外の卸売業者に対する求評会や、外食産業、量販店及び公共施設等における購入ルートの実態調査を現在実施いたしております。  また新たに県産米愛用月間を設定し、早期米につきましては、既にテレビ等による消費拡大キャンペーンの展開やアンテナショップでの展示即売、県庁食堂及び民間料理教室での県産新米の利用や街頭でのおにぎり配布などを通じて、消費者へのPRに努めたところでございます。普通期米につきましても引き続き同様の取り組みを実施しますほか、ふるさと米祭りや県内各地域での料理講習会など、各種の消費拡大活動を展開することにいたしております。今後とも、関係機関・団体とも連携を図り、県産米の県内消費の拡大に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  サトウキビ・糖業ルネッサンス計画は、今後三年間の生産計画や具体的生産振興対策を内容とするサトウキビ生産改善計画について、既に種子島及び奄美の六つの島別糖業振興会ごとに策定されたところでございます。また、生産改善計画を踏まえた製糖会社の合理化対策をまとめます甘蔗糖企業合理化計画につきましては、現在、島別の糖業振興会で検討中であり、十月中には策定されることになっております。  これらの計画の実現につきましては、県が新たに創設をしましたサトウキビ・糖業再活性化対策事業によって、計画に位置づけられた受委託組織の育成、実証ほの設置や簡易作業機の導入等の事業に助成を行いますとともに、ハーベスター導入等につきましては既存の事業も活用しながら、計画実現に努めることといたしております。また、施設整備の更新や業務体制の見直しなど製糖会社の合理化を推進するための短期借入金に対し、鹿児島県糖業振興協会が実施する利子補給と債務保証に対して支援をしているところでございます。  本県二例目となるクローン牛子牛の「隼人」は、成牛の皮膚細胞を用いたものとしては国内発で、かつ数少ない生存例であり、順調に成長すれば、血統、能力等が明確な種雄牛のクローン牛でありますことから、相似性や能力等が比較、確認できる貴重な例として意義あるものと考えております。  なお、クローン技術の実用化につきましては、クローン胚の安定的作出技術や受胎率の向上及び流産、死産、過大児等の原因究明、異常産回避技術の確立、出生直後の死亡原因の究明など、解決すべきさまざまな課題がございます。今後も、クローン牛の誕生が県内で相当数予定されておりますので、引き続き例数を重ねながら、生まれた子牛の遺伝的形質の相似性や発育、繁殖能力等のデータを蓄積し、クローン技術の確立に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。  平成十年度当初予算におきまして、肥育経営の安定を図るため、県単独の肥育牛価格安定制度を創設する一方で、国に対しましても、これに対する支援を強く要請してまいりました。その結果、国におきまして、新たに肥育経営の収益性が悪化した場合に、経営を継続するのに必要な経費を助成する地域肉用牛肥育経営安定対策事業が創設をされました。このため県としましては、この国の制度を活用することとし、肉専用種につきましては、農協系統のほかに新たに商社系を加え、さらに乳用種も事業の対象とし、頭数を拡大するともに、補てん限度額を一万五千円から肉専用種で四万円に、乳用種で二万円に引き上げるなど事業内容を拡充し、肥育農家の経営安定に努めることといたしております。 31 ◯教育長(徳田 穰君)農業系高校の施設設備につきましては、県産業教育審議会の答申も踏まえながら、生徒の学習意欲や学習効果を高めますとともに、営農作物の変化やバイオ等の技術進展など、本県農業をめぐる動向に配慮しながら計画的に整備を進めてきております。これまで農業系高校につきましては、多様化する教育内容に対応するため、学科再編も考慮に入れ、学校の必要に応じて実習室、温室などの施設や農業用機械、食品加工機械、測量関係機器などの整備の充実を図ってきております。しかしながら、一部には老朽した施設や古い形式の設備もあることから、今後とも、設置学科の特色を生かし、地域農業の振興に寄与できるよう、年次的、計画的に施設設備の整備に努めてまいりたいと考えております。  学校林を有する農業高校では、育苗、植林、間伐等の育林に関する実習教材として、その他の高校では勤労体験活動の教材として活用されております。さらに今日では、森林保全教育や環境保全教育の教材として活用され、生徒が水資源の涵養や国土保全に資するといった森林資源の大切さについて、学習することは意義あることと認識いたしております。  また現在の学校林につきましては、適当な樹齢に達していないことなどから直ちに伐採することは難しい面がありますが、今後新たに植林を行う場合には、関係機関と密接な連携をとりながら、照葉樹を含めた植林も検討してまいりたいと考えております。 32 ◯林務水産部長(迫 一徳君)本県の産直住宅システムは、産地側の製材業と消費地側の工務店とが事業組合を結成しまして、組合員である工務店が住宅建築を受注した場合に、組合員である製材業者が注文どおりにプレカットしました鹿児島材をそれぞれ建築現場まで送り届ける方式をとっております。  これまで、鹿児島材を使用した四棟のモデル展示住宅や産直木材フェア等を通じまして、鹿児島材の売り込みに努めてまいりました結果、これまで百四十四棟の契約がなされ、建築が完了または建築中のところでございますが、各工務店は、財団法人日本住宅木材技術センターの認定基準等に基づき施工しておりますことから、建築後も評判がよく、施主からクレームがあったことなどは聞いておらないところでございます。今後とも、鹿児島材のよさを積極的にPRしまして、工務店の新規参入を促進するなど、産直住宅システムの普及・定着に努めてまいりたいと考えております。  沿岸・沖合漁業の振興に当たりましては、資源を安定させ、持続的な生産を可能とすることが基本的に重要でありまして、県としましては「恵み豊かな海づくり」を基本目標として、各種の施策を推進することとしております。具体的には、まず海の生き物のすみかづくりとしまして、漁場の整備や藻場の造成等を行うこととしまして、県下各海域ごとに底魚類等を対象としました沈設魚礁や回遊性魚類を対象とした浮き魚礁を設置しますほか、ヒラメ等の増殖場の計画的な整備に努めております。また「つくり・育て・管理する漁業」を定着させますために、栽培漁業や資源管理型漁業を推進することとしまして、有用魚種の量産技術、放流技術の開発、マダイ、ヒラメの広域放流やトコブシなど地域特産種の放流による資源の維持培養を図りますほか、漁場や資源の生態等を常に調査しまして、その実態に応じて、漁業者みずからによる資源管理計画の策定と、その実践を指導しているところでございます。    [池畑憲一君登壇] 33 ◯池畑憲一君 御答弁をいただきました。  鹿児島東西幹線道路について、西回り自動車道が三月二十六日に伊集院まで開通した後の武岡トンネルの交通量は、ほぼ横ばいであると報道されておりましたが、実質的には相当増加しているはずであり、また今後、平成十四年度末には国道三号と接続する市来までが供用され、交通量は急増することから、東西幹線道路の整備を急いでいただきたいのであります。  海砂採取については、公共工事における海砂の重要性にかんがみ、関係漁協と十分な話し合いをしていただき、漁獲量や海岸線などに影響のないよう慎重に配慮されるとともに、今後の安定的な骨材確保への早急な取り組みを要請いたします。  農業・農村をめぐる情勢は、農地や農業者が減少する中で、輸入農産物は増加し、国内外の競争が激化するなどまことに厳しいものがあります。このような中で、我が国の食糧供給基地を目指す本県として、二十一世紀における食糧の安定供給と農村地域の活性化実現のために、新しい農業基本法の制定を強く期待しているところであります。  肉用牛の生産振興について、本県は、昭和四十年以降、和牛の出荷頭数全国一位を続けているところであり、高品質の生産を目指して、さらにクローン技術の研究開発を要請してやみません。  林業の振興については、上野原遺跡に見られるように、縄文の時代から森林の恵みを受けた豊かな生活と文化がはぐくまれてまいりました。森林は、県民の生活に欠かせない重要な役割を果たしており、祖先から引き継いだ貴重な森や林を次の世代に残していくことは、現在の私たちの重大な責務であります。しかし、その森林を活用し、さらに将来にわたって森林を守り、育てていくためには、子供たちにも今、森林の重要性を認識してもらわなければなりません。特に伊佐地区は森林のウエートが高く、伊佐農林高校には県下唯一の森林工学科が設置されていることから、森林の整備を取り上げ、また学校林の活用について申し上げたわけであります。  なお、我が党は、林政基本問題小委員会で、先般、国産材を中心とした木材の利用推進について、関係省庁に対し申し入れを行いましたが、その内容は、外材輸入の適正化を図るとともに、公共事業について木材利用を一層推進すること、まちづくりの観点から、木造の橋など地域のシンボル的な木造建築物の建設を促進すること、青少年の健全育成の観点から、保育園や小・中学校など公共施設の新設、改築の木造化や内装の木質化を促進すること、木造住宅、特に地域材を活用した住宅のよさをPRすることなどでありまして、我が党は、今後とも林業と木材産業の活性化のために努力を尽くしてまいります。  次に、環境行政についてお尋ねいたします。  第一は、産業廃棄物最終処分場の整備についてであります。  鹿屋市の下高隈町において、株式会社インクスが産業廃棄物管理型最終処分場の設置許可を申請していましたが、県は七月二日に設置許可を出されました。この施設については、県当局は当初、公共関与で整備する方針を打ち出されましたが、地元議会の同意が得られず、その方式を断念され、民間主導の整備計画になったものであります。現在、廃棄物処理制度においては、所定の手続を踏んだ上で申請された最終処分場の整備計画が、法令に定める基準を満たしておれば、県の立場上、許可せざるを得ないわけであります。しかしながら一方で、住民の中には、最終処分場の安全性、信頼性に不安を持つ方々もおられるようであります。この上は、設置者が法令に基づいてきちんとした整備をされ、地域住民を初め、県民の信頼を得られる施設となるよう希望するものであります。  そこでお尋ねしますが、鹿屋市の株式会社インクス産業廃棄物最終処分場の整備について、県はどのように指導をされるおつもりかお答えください。  また、今回は民間主導による整備計画になったわけでありますが、最終処分場は、本県の産業・経済や県民生活を営んでいく上で不可決のものであり、県として引き続き公共関与による最終処分場の整備を積極的に推進していく必要があると思うのであります。しかし、最終処分場だけを単独で整備しようとしても、なかなか地元の理解を得ることが困難な面もあるように思いますので、施設を受け入れる地域については、地域振興対策もあわせ考慮しながら進めていくことが重要ではないかと考えます。そこで県として、今後、公共関与による管理型最終処分場の整備に、どのような姿勢で取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  第二は、トリクロロエチレン等による地下水汚染についてであります。  最近、全国各地の半導体工場敷地内及び周辺の地下水から、環境基準を大幅に上回るトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有機塩素化合物が検出されております。これら有機塩素化合物は、もともと電気機械・器具製造業やドライクリーニングなどで洗浄剤等として広く使用されてきましたが、肝臓等に障害を引き起こすほか、発がん性の疑いもあるなど、人体への影響が懸念されるため、平成元年に水質汚濁防止法の有害物質に指定されました。こうした有機塩素化合物に汚染された地下水が飲料水などに利用された場合、住民の健康への影響が懸念されるところであり、速やかな実態の把握と水質浄化対策が求められております。  そこで本県では、こうした有機塩素化合物による地下水汚染の実態はどうなっているのか。また新聞報道によると、本県の半導体関連工場において、環境基準を超える地下水汚染が検出された例があるようでありますが、こうしたケースについて、どのように指導されてきたのかお聞かせください。  第三は、屋久島の世界自然遺産関係についてであります。  平成五年十二月に屋久島が世界自然遺産に登録されてから、ことしで五周年になります。この間、環境文化村センターと環境文化研修センターがオープンし、世界の研究者や学生を集めてのセミナーの開催等さまざまな取り組みを通じて、屋久島の豊かな自然を保護しつつ、人と自然の新たな共生のあり方を模索する環境文化の考え方を世界に向かって情報発信してこられました。近年ますます地球問題への関心は高まり、環境文化の拠点としての屋久島の役割が大きくなってきていると思うのであります。そこで、屋久島の世界自然遺産登録五周年の感想と、ことしの秋に開催されようとしている世界自然遺産登録五周年記念シンポジウムの具体的な取り組み状況についてお示しください。  また、再来年の二〇〇〇年に予定されている本県主催の世界自然遺産会議は、未来に残すべきすぐれた自然環境の保護や、人と自然との共生につながる地域振興のあり方についての議論を深めるとともに、屋久島を初め、本県のすぐれた自然を世界に情報発信する大きなきっかけになるものと考えますが、この会議を成功に導くためには、県民を初め県内外にその意義を理解してもらうとともに、開催への機運を盛り上げていく必要があります。ことしの十一月末から十二月初めには京都でユネスコの世界遺産委員会が開催されるということでありますが、その際のPR活動も含め、今後どのような取り組みを進めていかれるのかお伺いをいたします。  次に、県民生活の安定と向上についてお尋ねいたします。  第一は、霧島彫刻ふれあいの森の整備についてであります。  霧島彫刻ふれあいの森は、霧島地域の豊かな自然やすぐれた景観、芸術・文化的素材を生かして、文化の香り高い、潤いのある美しい地域づくりを目指す霧島国際芸術の森基本構想の中で、みやまコンセールとともに新たな芸術・文化の交流を形成しようとするものであります。野外の広々とした空間にすぐれた芸術作品を配置し、周遊しながら芸術作品を鑑賞できる野外美術館として、全国に誇れる内容となることが期待され、また周囲の自然や温泉、レクリエーション施設等と連携して地域の新たな魅力を生み出し、県内外からの集客も期待できることから、一日も早い開園が待たれるところであります。  そこで、霧島彫刻ふれあいの森の現在の進捗状況及び全体の整備スケジュールはどのようになっているのか。また、施設の整備と並行して、園内に展示する彫刻等の芸術作品の作家選定、作家への委嘱なども行うこととされておりますが、選定に当たっての考え方と作品の収集方法、スケジュール等についてお聞かせください。
     第二は、青少年の健全育成についてであります。  二十一世紀を担う青少年が自立の精神と豊かな感性を持って成長することは、県民だれもが願うことでありますが、今日の青少年を取り巻く社会環境の変化は、青少年の意識や行動にさまざまな影響を及ぼし、ナイフ等による凶悪事件、いじめ、薬物乱用、性をめぐる逸脱行為など、青少年の問題行動は後を絶ちません。こうした中で、非行や犯罪の温床となりがちな若者の深夜徘回が問題となっております。特に夏場は外出の機会も多く、気分的にも開放的になることから、青少年の深夜徘回が増加する傾向にあり、本県においても、警察や学校、地域において重点的に指導がなされてきたところであります。  そこで、ことしの夏休み期間中の青少年の深夜徘回の状況はどうだったのか、またどのような指導を行ってこられたのかについてお答えください。  また、こうした青少年の深夜徘回の防止をテーマに、先ごろ実施された「心豊かな青少年を育てる県民の集い」の開催状況と、この県民の集いを含めたこれまでの青少年の健全育成の取り組みを踏まえて、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  第三は、消費行政の推進についてであります。  景気の低迷や高齢化の進展、生活様式の変化など、県民を取り巻く環境が大きく変化してきている中で、県民生活の安定と向上を実現するためには、健全な消費生活の確保が不可欠であります。県消費生活センターと大島消費生活相談所に寄せられた昨年度の相談件数は六千百四十九件で過去最多となり、前年度より七百五十五件、一四%も増加しております。その中で、家庭への訪問販売に関するものが、前年度に比べ三割ふえており、高額商品に踊らされたバブル期と違って、最近は壁の補修や器具の修理といった地味な手口で高齢者をだますケースが目立つそうであります。また仕事をあっせんすると誘って軽トラックを購入させたり、文書づくりの内職をあっせんするとしてワープロを買わせたのに、聞いていたほど仕事が回ってこないとか、あて名書きの内職を得るため前払い金や登録料を払ったのに、送られてきたのは家庭用のアルバイト情報の本と見本のコピーだけといった悪質商法が増加の傾向にあるようであります。  そこで、最近の消費生活にかかわる相談の状況と悪質商法対策について、どのように取り組んでおられるのかお伺いをいたします。  最後に、保健福祉行政についてお尋ねいたします。  第一は、介護保険制度の円滑な実施についてであります。  高齢者の介護を社会全体で支える介護保険制度については、平成十二年四月からの導入に向けて、介護支援専門員の実務研修受講試験の実施など準備作業が着実に進められているところでありますが、小規模の市町村がそれぞれ介護保険事業を運営していくことは、要介護認定に必要な専門スタッフの確保、介護サービスを提供するための財政負担等の面で困難が予想されます。このため、国の主導のもとに、県も複数の市町村による広域的な対応を促進されており、県内の各地域において広域連携に向けた協議が市町村間でなされてきているところであります。  そこでお尋ねしますが、県内の各地域において、どのような範囲で、どのような事務を、またどのような形態で広域的な取り組みを行おうとしているのか、その検討状況について明らかにしてください。  また、今年度後半には全市町村において訪問調査から要介護認定、介護サービス計画作成までのモデル事業が実施されることになっており、来年十月からは要介護認定の申請受け付けが始まることから、今回のモデル事業において、要介護認定の流れを確認するとともに、問題点は早急に是正して、本番でのトラブルがないよう万全を期す必要があります。そこで、今回のモデル事業は、どのような考え方で、また、どのようなやり方で実施されるのか、また、どのようにして要介護認定の公平性を確保するのかなど、モデル事業の具体的な進め方についてお示しください。  第二は、毒物・劇物の取り扱いと毒物中毒への対応についてであります。  七月下旬に和歌山市において、自治会の夏祭りに出されたカレーに毒物が混入され、住民六十七名が中毒症状を起こし、うち四名が死亡するという事件が発生しました。また八月十日には新潟市の木材加工会社の事務所でお茶に毒物が混入され、八月十五日には本県の川辺町において施設の水道水に農薬が混入され、さらに八月三十一日には長野県で、毒物が混入されたウーロン茶を飲んで死亡するという事件が発生しました。  幸い本県の事件では、いち早く異常に気づいた住民の連絡によって大事には至りませんでしたが、これらの毒物等はいずれも法律の規制対象となっており、一般の人が簡単に入手できるものではありません。こうした毒物等が不特定多数の人が口にする食物や飲料水に混入されるということは、市民生活に対する大きな脅威であり、これまで以上にこうした毒物・劇物等の取り扱いや管理は厳密に行わなければなりません。  そこで、県内の事業所、研究機関、学校、農家等における毒物・劇物等の使用や保管状況及び県の指導はどのようになっているのか。また、和歌山市の事件においては、当初通常の食中毒と判断されたため毒物中毒の対応がおくれたという面も指摘されており、毒物中毒の疑いがある事件についての適切な対応が求められております。そこで、本県における保健所や警察等の体制はどのようになっているのか。さらに、食品の安全を確保するためのスーパーやコンビニエンスストア等の食品販売店に対する指導は、どのようになっているのかお伺いをいたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 34 ◯知事(須賀龍郎君)公共関与によります管理型最終処分場の整備につきましては、市町村や地域住民の理解と協力を得るためにも、本年度は市町村職員や市町村議会議員を対象といたしました研修会を実施したところであります。また、一部の市町村長や市町村議会議長の先進地視察も行ったところであります。さらに、一般県民を対象といたしました産業廃棄物セミナーの開催や先進地視察の実施など、普及啓発事業を積極的に行うことといたしております。  なおまた、公共関与によります管理型最終処分場の整備を進めるに当たりましては、ただいま御指摘のございましたとおり、施設が設置されます地域に対する生活環境の整備や公共施設の整備等、地域振興対策につきましても、市町村長等の意見も十分にお伺いしながら適切に対応してまいりたいと考えております。  次は、屋久島が世界自然遺産に登録されまして、ちょうど五周年を迎えますが、この間、国の世界遺産センターや県の屋久島環境文化村センターなどの中核施設が整備され、屋久島のすぐれた自然の紹介や環境学習の実施など各種の施策が、地元両町とも一体となって積極的に展開されてきているところであります。こうした取り組みによりまして、県民のみならず全国的にも屋久島の自然に対する関心が高まり、屋久島のすぐれた価値が高く評価されつつありますことは、まことに喜ばしいことと考えております。  また、世界自然遺産登録五周年記念の屋久島国際シンポジウムにつきましては、十月三十日に屋久島において開催することとしておりますが、このシンポジウムでは、屋久島の世界遺産登録に際しまして御尽力をいただきましたニュージーランドのレス・モロイ博士の記念講演の後に、地元の中学生、高校生とオーストラリアのニューサウスウェールズ州政府の遺産地域調整監などを交えまして、次の世代を担う子供たちから見た世界遺産の島・屋久島の現状や未来の姿、海外の取り組み状況等について意見発表や意見交換を行うことといたしております。  さらに、屋久島を国内外に幅広く情報発信いたしますとともに、国際交流の促進を図りますために、平成十二年五月に鹿児島市と屋久島におきまして、世界自然遺産会議を開催することといたしております。このために先般、関係機関・団体等から構成されました実行委員会を設立したところであります。今後、会議の開催に向けまして、関係機関や各種団体等との連携を図りながら、分科会のテーマや参加者の選定など、会議の具体的な内容の検討や会議に関連して実施する事業の検討・調整等を進めますとともに、県民や県内外へ幅広く参加を呼びかけることといたしております。  なお、ことしの十二月に二十一カ国の代表が参加して京都で開催されます世界遺産委員会におきましては、各国の委員などに対しまして、世界自然遺産会議に関するビデオ映写並びにパンフレット配布などを行いまして、会議の趣旨の周知や参加要請など広報活動を実施してまいりたいと考えております。 35 ◯環境生活部長(大久保博志君)株式会社インクスの管理型最終処分場の設置許可に当たりましては、生活環境の保全に万全を期するため、遮水シートを二重シート構造にすることや、地下水集排水施設設備を設置することを初め、県条例に基づく上乗せ排水基準よりさらに厳しい水質を確保することなどの指導を行ったところであります。  県といたしましては、事業者に対し、今後の処分場の整備に当たっては関係法令を遵守し、災害防止等に万全を期するよう強く指導しますとともに、工事の節目節目には県も立入検査を行うなど、適正に事業が執行されるよう、鹿屋市とも十分連携を図りながら厳正に対処してまいりたいと考えております。  次に、トリクロロエチエン、テトラクロロエチレンなどの有機塩素化合物による地下水汚染につきましては、水質汚濁防止法に基づき平成元年度から、これらの物質を使用しているドライクリーニングや電気機械・器具製造業などの事業所周辺の井戸を重点に調査してきております。平成九年度の調査結果では、調査した県下二百四十八の井戸のうち二十九井戸につきまして、人の健康の保護のために環境庁が定めた地下水の環境基準を超えており、このうち二十八井戸は毎年継続して監視・調査している井戸でありました。県といたしましては、これらの有機塩素化合物を使用する事業所に対しましては、地下水汚染防止対策を指導いたしますとともに、基準超過井戸の所有者に対しましては、飲用水に利用しないよう指導してきているところであります。  また、県内の半導体関連工場につきましては、昭和六十年に一工場の井戸から環境基準を超える濃度のトリクロロエチレンが検出されました。当該工場では、汚染が判明した直後から、地下水をくみ上げ、浄化対策を行い、さらにその効果を上げるため、平成七年度からは土壌ガス吸引法による浄化対策もあわせて行っておりまして、昭和六十年に〇・六二ミリグラム・パー・リットルでありました濃度が、平成九年には〇・二六ミリグラム・パー・リットルと次第に改善しておりますが、引き続き県といたしましては、同工場に対し、これらの浄化対策の実施を指導してまいります。また、その他の工場やその周辺の地下水につきましても、引き続き監視・調査を実施するなど、地下水の汚染防止に努めてまいりたいと考えております。  次に、霧島彫刻ふれあいの森の整備につきましては、本年度六月から駐車場や園地の基盤造成工事に着手したところであり、南東側のイベント交流ゾーンを除き、主たる部分につきまして、平成十一年度中に造成を終えたいと考えております。中核施設となるアートホールにつきましては、今回、本会議に契約の議案を提出いたしているところでありまして、議決後速やかに工事に着手し、平成十一年度の完成を目指しております。  また、作品の収集に当たりましては、平成八年度策定した彫刻作品等の収集に関する基本方針に基づき、霧島地域の豊かな自然環境にマッチし、設置箇所の空間特性を最大限に生かした新規の作品を中心に収集することといたしております。作品の収集に当たりましては、昨年設置しました彫刻作品の専門家による作品・作家選定委員会により、主たる展示場であります野外展示場に設置する作品として、世界的にすぐれた実績のある国内外の著名な作家を候補作家として選定していただいているところであります。本年度から十二年度にかけて設置してまいりたいと考えております。また並行して郷土作家の作品を確保するほか、新人作家の育成のための彫刻コンテストを通じ、彫刻作品等を収集することといたしております。このような諸般の作業を計画的に進め、主たる部分の整備を待って、平成十二年度に一部オープンしたいと考えております。  夏休み前の七月十八日鹿児島市におきまして、「青少年の深夜外出防止について考える」をテーマとしまして、「心豊かな青少年を育てる県民の集い」を開催いたしました。この集いには、鹿児島地区の十五校の高校生や青少年団体所属の青少年百二十名を含む、約七百名が参加し、青少年の深夜外出の現状や背景、外出防止方策等について意見交換が行われますとともに、青少年の深夜外出を防止する運動を地域ぐるみで実践しようという大会宣言が採択されました。  青少年の健全育成につきましては、県では昨年度から、心豊かな青少年を育てる運動を県民と一体となって取り組んできており、各種の広報啓発活動を初め、地域ぐるみの推進体制の整備や青少年団体活動や国際交流の促進、心の教育、いじめ、不登校対策の推進、あるいは有害な刃物等の規制、街頭補導等非行防止対策の推進など各般の施策を、市町村や関係機関・団体と密接な連携を図りながら積極的に推進してきているところであります。今後とも、これらの施策の一層の推進を図ることによりまして、家庭、学校、地域社会が一体となった青少年の健全育成に努めてまいりたいと考えております。  次に、平成九年度の県消費生活センター及び大島消費生活相談所での相談件数は六千百四十九件となっており、このうち家庭訪問販売や電話勧誘販売あるいは通信販売などに係る相談が三千四百二十九件で五六%を占めております。相談状況を年齢別に見ますと、三十歳未満の若年者と六十歳以上の高齢者からの相談が、相談件数の四八%を占めており、また相談の内容としましては、契約の解除と販売方法に係る相談が多くなっております。平成九年度に受けました相談の中で悪質なものといたしましては、若者に絵画や宝石を高額な値段で購入させるとともに、知人等へ絵画購入を勧誘させるもの──いわゆるマルチ商法でありますが──や、資格取得を名目に高額な教材を購入させるもの、あるいは家屋の点検を口実に必要以上の補修契約をさせるもの等がありました。県といたしましては、このような悪質なものにつきましては、報道機関へ情報提供を行い、県民へ注意を呼びかけましたほか、業者に対する改善指導やあるいはトラブル事案の解消、あっせんにも努めてきたところであります。  また、悪質商法に巻き込まれないためには、消費者自身が消費生活に関する知識と判断力を養うことが大事であることから、県としましては、テレビや新聞情報などにより広く県民への啓発を行いますとともに、若年者や高齢者を対象といたしました啓発講座の開催、あるいは県内高校二年生全員に消費生活問題をわかりやすく解説した副読本を配布するなど、消費者意識の啓発に努めてきているところであります。今後とも引き続き、悪質商法による事故防止のため各種啓発活動を推進してまいりたいと考えております。 36 ◯警察本部長(小野次郎君)夏休み期間中に補導された不良行為少年は千九百五十六人であり、またそのうち深夜徘回による補導は九百五十三人と、全体の半数弱を占めております。これは昨年の夏休み期間中と比較すると、補導総数で約一三%、また深夜徘回で約一五%といずれも大幅に増加しております。このような行為が即非行ということではございませんが、これら行為が非行に発展したり、逆に何らかの犯罪に巻き込まれて、その被害者となる可能性が高いことは御指摘のとおりでございます。  警察といたしましては、深夜徘回が少年非行などの問題へ発展することを防ぐため、少年ボランティア、学校などの関係機関・団体との緊密な連携による街頭補導活動を強化し、また家庭における子供に対するしつけ教育を呼びかけ、さらには深夜徘回を助長する不健全な環境に対する地域社会における浄化活動などを推進しているところでございます。  県警におきましては、毒物中毒事件の発生に適切に対処するため、病院、保健所、消防など関係機関との通報連絡体制を整えたほか、迅速な初動捜査体制及び科学捜査研究所の二十四時間鑑定体制を確立するなど、万全の対応策をとっているところでございます。また、この種事件の未然防止を図るため、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、さらには自動販売機設置者に対して商品管理の徹底等についての注意喚起を行っております。  さらに、去る四日には緊急対策会議を開催し、県商工会連合会、県中小企業団体中央会を初めとする七団体にお集まりいただいて、消費に対するチェック機能の強化などの未然防止対策を申し合わせたところでございます。今後とも、関係機関・団体と緊密な連携を図り、これら販売店等に対する防犯指導やパトロールの強化等、市民の安全を守るための諸活動を展開してまいりたいと考えております。 37 ◯保健福祉部長(矢島鉄也君)介護保険制度の運営体制につきましては、老人保健福祉圏域を単位に、市町村等で構成いたします介護保険制度地区協議会等を設置するなどして、広域的な対応を行う圏域、事務内容及び形態を含めた運営体制についての協議が進められております。これまでの検討状況を見ますと、まず圏域につきましては、一部市町で単独実施という意向もございますが、その他のすべての市町村におきまして広域的な取り組みを行う方向で検討が進められており、県内十一地区のうち九地区におきましては、市町村間で基本的な合意がなされ、残りの二地区におきましても、広域的な対応の方向で検討が進められております。  また、広域的対応を行います当面の事務内容といたしましては、介護認定審査会の運営を中心とする要介護認定事務についての検討がなされているところであり、さらに形態については、広域連合、一部事務組合あるいは機関の共同設置等についての検討が進められているところでございます。今後、市町村において介護保険制度の円滑な導入準備を進めていくことが必要であることから、県といたしましても、広域的対応の運営体制を早急に決定していただけるよう指導してまいりたいというふうに考えております。  要介護認定等の試行的事業、いわゆるモデル事業でございますが、要介護認定及び介護サービス計画の作成等の試行を行い、実施に当たっての実務上の課題に関する調査研究結果を制度施行に反映させようとするものでございます。このため平成十年度につきましては、県下のすべての市町村が参加し、しかも介護保険制度施行後の体制に近い形で実施するというような基本的な考え方に基づきまして、広域的な連携により実施してもらうことといたしております。また、より公平かつ公正な要介護認定を確保するため、試行的事業の実施状況を踏まえまして、一次判定のための調査項目数ですとか、介護度をはかる尺度の評価法の改善等を図るとともに、介護認定調査員や介護認定審査会委員、介護サービス計画作成者の研修等を行うことといたしております。  食品の衛生安全確保及び毒物・劇物の適正な使用、保管管理につきましては、これまでも万全を期するよう指導や取り締まりを行っているところでございます。今回の和歌山等での事例を受け、食中毒あるいはその疑いのある場合の調査は、病原微生物のみならず、化学物質を含め、あらゆる病因物質の可能性を考慮して実施すること、また警察や医師会等の関係機関と十分連携を図りながら、原因究明や被害者の治療、再発防止などに対処することとし、本年七月以降、各市町村、関係団体、毒物等の取り扱い業者等に対しまして、関係部からも含め重ねて注意を喚起し、指導を行っているところでございます。加えて、去る九月十二日には食品関係営業者や消費者等に対しまして、新聞紙面で広報啓発を行ったところでございます。今後とも、警察を初め、県医師会など関係機関とより一層連携、連絡体制を強化し、県民の方々への毒物・劇物による被害防止に努めてまいりたいというふうに考えております。    [池畑憲一君登壇] 38 ◯池畑憲一君 御答弁をいただきました。  鹿屋市における産業廃棄物最終処分場については、法令に基づいてきちんと整備され、地域住民を初め県民の信頼を得られる施設となるよう強く期待いたします。引き続き産業廃棄物及び処理施設に対する住民の不安感、不信感を取り除き、理解を深めるための普及啓発活動に努めるとともに、公共関与による管理型最終処分場の整備に最大限の努力を払っていただきたい。  霧島彫刻ふれあいの森については、国際芸術の森基本構想に沿って、霧島地域の豊かな自然の中ですぐれた芸術作品や自然に親しむ場として、一日も早く整備されますよう要請してやみません。  介護保険については、来年十月からの要介護認定の申請受け付けまで一年しかありません。当面急がれている市町村の広域対応については、広域のために実情の把握が難しくなるとか、きめ細かな対応ができなくなるなどの懸念や、地域間の基盤整備の格差是正の問題などが、提起されていることから広域化の指導に当たっては、円滑な推進が図られるよう十分な配慮をお願いいたします。  以上、行財政問題を初め、当面する県政の重要課題について質問をいたしてまいりました。今回質問に取り上げました景気対策や産業振興、教育や環境、福祉問題など、解決を迫られている課題が山積いたしております。我が党は、引き続き政権与党として今後の政治運営に重大な責任を痛感するものであります。  先般の選挙で示された県民の審判を真摯に受けとめ、二十一世紀に向けて、県民の皆様が勇気と希望を持てる県政の確立に全力を挙げて取り組むことを申し上げまして、自由民主党県議団を代表しての質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 39 ◯議長(溝口宏二君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ─────────────    △ 日程報告 40 ◯議長(溝口宏二君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、代表質問及び一般質問であります。       ─────────────    △ 散  会 41 ◯議長(溝口宏二君)本日は、これで散会いたします。         午後三時十五分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...